ゼレンシキー宇大統領、アルバレス・スペイン外相と会談 防空システム提供に謝意
ウクライナのゼレンシキー大統領は2日、キーウ(キエフ)を訪問したアルバレス・スペイン外相と会談した際に、スペイン政府による防空システムへの提供はウクライナにとって大きな意味があるとして、謝意を伝えた。
ゼレンシキー宇大統領がアルバレス西外相との会談につきフェイスブック・アカウントで報告した。
ゼレンシキー氏は、「スペインによる重要な人道支援、とりわけ本日の30台の現代的救急車の提供に感謝している」と発言した。
また同氏は、スペインにてウクライナの難民が暖かく受け入れられていることについて謝意を伝えた。
加えて同氏は、「現在の一番の課題は、私たちの重要インフラ、民間インフラを守るための空の盾を作ることだ。そのため、スペインによるウクライナに防空システムを提供する決定は、私たちにとって本当に大きな意味がある」と強調した。
さらに同日、ウクライナ大統領府広報室は、同会談の詳細につき公表した。
発表によれば、ゼレンシキー氏は、ウクライナの欧州・欧州大西洋統合問題を協議した際、ウクライナは欧州連合(EU)加盟への道に関して、2023年にEU理事会の議長国となるスペインからの具体的行動に期待していると伝えた。
双方は、最近のロシアの攻撃の被害を受けたウクライナの電力インフラの復旧についても話し合った。ゼレンシキー氏は、スペイン側に対して、発電機提供につき謝意を伝えつつ、電力の断続的供給を可能とするためには、追加支援が必要だと伝えた。また、同氏は、スペインがウクライナ復興に積極的に関与することへの期待を表明した。
さらにゼレンシキー氏は、ロシアがウクライナで行っている犯罪の責任追及に関するウクライナのイニシアティブを説明し、スペインがロシア侵略で生じた被害の補償メカニズムの設置とロシア侵略の犯罪を裁くための特別国際法廷の設置を支持することへの期待を表明した。
双方はまた、ロシア侵略による食糧安全保障への被害について意見を交換を行い、とりわけ世界の食糧安全保障にとっての主要な要素である黒海穀物回廊の効力延長の重要性を指摘した(編集注:現在の「黒海穀物回廊」合意は11月中に失効するが、当事者が合意すれば効力を延長することが可能)。
ゼレンシキー氏は、今年ウクライナは1932〜1933年のホロドモール(編集注:ソ連政権がウクライナで引き起こした大規模人為的飢餓)から90年が経過することを指摘し、スペインも他国同様ホロドモールをウクライナ民族に対するジェノサイドと認定することへの期待を伝えた。
なお、アルバレス・スペイン外相は、2日ウクライナを訪問した。アルバレス氏は、ツイッター・アカウントにて、同日のゼレンシキー大統領やクレーバ宇外相との会談、キーウ市やキーウ州マカリウの戦禍視察の様子を写した動画を公開している。
また同日、クレーバ外相は、アルバレス外相との会談後共同記者会見時、スペイン政府がウクライナ政府に「アスピーデ」ミサイル砲台と防空システム「ホーク」4基などからなる軍事支援パッケージを提供すると発言している。
写真:ウクライナ大統領府