40か国以上代表者がウクライナ和平協議に参加=ウクライナ大統領府

ウクライナのイェルマーク大統領府長官は、5日にサウジアラビアのジッダにて開催された首脳補佐官級協議につき、各国参加者はウクライナのための平和原則につき異なる視点を示したが、同時に全ての参加者が国連憲章、国際法、主権と領土一体性への尊重の原則にコミットしていると表明したと伝えた。

6日、ウクライナ大統領府広報室が伝えた

発表によれば、6月のコペンハーゲンにて始まった国家安全保障補佐官・外務省政治局長フォーマットによる、ウクライナのための永続し公正な平和を回復する重要原則に関する次期会合が8月5日にジッダで開催された。

ウクライナからはイェルマーク宇大統領府長官が出席した他、前回コペンハーゲン会合時の約3倍となる40か国以上の国の国家安全保障担当補佐官と外務省政治局長が対面とオンラインで参加した。参加したのは、サウジアラビア、オーストラリア、アルゼンチン、バーレーン、ブルガリア、ブラジル、英国、デンマーク、エストニア、欧州連合(EU)、エジプト、インド、スペイン、イタリア、ヨルダン、カナダ、カタール、中国、クウェート、ラトビア、リトアニア、オランダ、ドイツ、ノルウェー、アラブ首長国連邦、南アフリカ、ポーランド、韓国、ルーマニア、スロバキア、コモロ連合、米国、トルコ、フィンランド、フランス、チェコ、チリ、スウェーデン、日本、国連。

イェルマーク氏は、「私たちは公正で堅固な平和を築く基盤となる重要原則に関して非常に生産的な協議を行った。私たちは、極めて正直でオープンな対話を行ったが、その際各国代表者は自らの立場と見方を発表することができた。異なる見方はあるが、しかし全ての出席者が国連憲章、国際法、国々の主権の尊重と領土一体性不可侵へとコミットしていると表明した。そして、正にこれらの原則の上にゼレンシキー大統領の『平和の公式』は築かれている。私たちは同公式につき詳細に説明した」と発言した。

また、大統領府は、ジッダ会合は、ウクライナが提案する和平案の実現に向けた一歩となったと伝えた。

発表には、「協議に参加した各国が、平和のためのグローバルな努力にてリーダーシップを発揮することができる。大半の国はすでに『公式』の個別項目の実現における自らの役割を定めた」と書かれている。

さらに参加国は、公正で包括的な平和の確立のために、様々なレベルで作業を継続することに同意したという。

また、今回のジッダ会合の際に、ウクライナ代表団は複数の二国間会合も開催したと書かれている。

その他、日本外務省は、公式ウェブサイトにて、山田重夫外務審議官が今回のジッダ会合に出席したと発表した

発表には、同会議には、サウジアラビア、ウクライナ、G7、中国の他、グローバル・サウスを含む国々等が参加し、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現及びロシアによるウクライナ侵略が国際社会に与える悪影響の緩和について、幅広く議論が行われたと書かれている。

また、同会議の出席者からは、G7広島サミットにおけるG7、ウクライナ、グローバル・サウスを含む招待国による議論が、コペンハーゲンでの会議、そして今次会議の開催に繋がっているという認識が示されたという。

山田外務審議官は、「G7広島サミットにおいて、G7、ウクライナ、グローバル・サウスを含む招待国との間で議論し、取りまとめた4つの原則について改めて紹介」し、「これらの原則が、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現に向けた議論の土台になり得る旨述べるとともに、ロシアによるウクライナ侵略によって引き起こされている、国際社会が直面する喫緊の課題、例えば、ロシアによる黒海穀物イニシアティブからの離脱により大きな影響を受けている食料安全保障についても議論していく必要性がある」と発言したという。

これに先立ち、ウクライナのジョウクヴァ大統領府副長官は、ジッダ会合では、ウクライナの提案する10項目からなる和平案「平和の公式」の各項目を実現する国を決めていくつもりだと発言していた

同会合は、6月24日にコペンハーゲンにて開催された、G7、ウクライナ、デンマーク、トルコ、南アフリカ、インド、ブラジル、サウジアラビアの国家安全保障・政治問題首脳補佐官が平和の重要原則に関する会合の次期会合にあたるもの。

なお、「平和の公式」とは、ロシア・ウクライナ戦争の平和を確保するために実現が必要な、(1)核の安全、(2)食糧安全保障、(3)エネルギー安全保障、(4)全ての被拘束者と追放された人の解放、(5)国連憲章の履行とウクライナの領土一体性と世界の秩序の回復、(6)ロシア軍の撤退と戦闘の停止、(7)正義の回復、(8)環境破壊行為対策、(9)エスカレーションの防止、(10)戦争終結の確認、の10項目からなるウクライナが提案している和平案のこと。同案は、ゼレンシキー宇大統領が、2022年11月15日、G20首脳へ向けたビデオ演説を行った際に提案した。