ウクライナ国会の公務員資産非公開決定につき、ゼレンシキー宇大統領、副首相に協議実施を要請
ウクライナのゼレンシキー大統領は6日、最高会議(国会)が公務員の電子資産申告制度の再開する法案を採択した際に、資産の即時一般公開は支持しなかった問題につき、ステファニシナ副首相に対して、同法に関する協議を行うように要請したと発言した。
ゼレンシキー大統領がキーウでのフレデリクセン・デンマーク首相との共同記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ゼレンシキー氏は、「私は、オリハ・ステファニシナニシナ副首相に、その採択された法律に関して協議を行うよう要請した。私は、協議を行い、返答を受け取り、決定を採択する(編集注:拒否権を発動するか否かの決定のこと)」と発言した。
同氏はその際、あるのは2択であり、同法に署名するか、拒否権を発動するかだけだと発言した。
また、同日、コルニイェンコ最高会議第一副議長は、公共ラジオ「ウクライナ・ラジオ」出演時に、最高会議が公務員の申告した資産を即時公開するのではなく、1年間非公開にすることを決めたことにつきコメントした。
コルニチェンコ氏は、「昨日(9月5日)、資産申告法についてかなり激しく、長く議論が行われ、私たちはそれを採択した。残念ながら、私たちは、非公開申告でその法を採択した。私は、申告内容を公開する修正案を支持した。しかし、私のような同僚は、199人しかおらず(編集注:採択するには226人の賛成が必要)、私たちはその決定を採択することができなかった。そのため、現在、その方を今後どう受け止めるかという問題が生じている。確かに、申告は公開した方がいいという汚職対策機関や活動家がいる。それについては、G7や欧州連合(EU)代表者をはじめ、私たちのパートナーたちも話している」と発言した。
また、6日、ウクライナ大統領公式ウェブサイトにて、ゼレンシキー大統領に対して、5日に採択された電子資産申告関連法に拒否権を発動して、公務員の資産申告を公開するよう要求した上で、最高会議に返却することを求める電子請願が、審議要件である2万5000人分の署名に達成した。
同請願への署名は、9月6日に始まったもの。7月12時時点で、審議のために必要な2万5000人分の署名を大きく超え、約6万人が署名している。
請願説明文には、「2023年9月5日、ウクライナ最高会議議員は、第二読解で法案第9534を採択した。それは、あたかも公務員の資産申告を再開させるものだという。しかしながら、社会の最も重要な要求である、公務員たちの『戦時下』の資産に関する情報公開を同法は実現しておらず、政権の資産情報は、さらに1年間非公開となる」と書かれている。
また、同法が採択されたことで、最高会議議員は、国民や報道関係者が、戦時下に政権高官の行動をコントロールし、汚職を防止する手段を奪った上で、EU、G7大使、欧州議会議員の声明に反したのだと強調されている。
さらに請願者たちは、最高会議議員や政権幹部に関する調査報道の数の多さが際立っていると指摘し、ウクライナ国民から、政権幹部の資産申告を隠すことは、国内の著しい汚職を隠すことだと主張している。
その上で、請願者たちは、ゼレンシキー大統領に5日に採択された電子資産申告制度再開関連法に拒否権を発動し、資産申告の即時公開に関する修正を加えるよう要求するよう求めている。
これに先立ち、ウクライナ最高会議は5日、汚職対策制度として知られる電子資産申告につき、政権高官を含む公務に就く人物が戒厳令下でも資産の申告を行うことを義務付ける法律を採択した。
他方で、申告された資産を即時一般公開することを定めた修正提案は、賛成数199で否決された。これにより、ゼレンシキー大統領が同法に署名した場合、公務員の申告する資産の一般公開は1年後となる。