ゼレンシキー宇大統領、ウクライナ発、モルドバ・ルーマニア経由の「穀物回廊」の開始を発表
ウクライナのゼレンシキー大統領は10日、まもなくウクライナの穀物をモルドバとルーマニアを経由して輸出する新しい「穀物回廊」が運用されると発表した。
ゼレンシキー大統領が訪問先のブカレストにてヨハニス・ルーマニア大統領との会談後共同記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ゼレンシキー氏は、「ウクライナ・ルーマニア・モルドバの三角形にて、私たちは、私たちの国と民の発展だけでなく、欧州全体の発展のための非常に強力な基盤を作ることができる。何よりもそれは経済発展だ。私たちはすでにその三角形にて流通の発展における良い成果を達成した。もうまもなくウクライナ発、モルドバ・ルーマニア経由の穀物回廊が運用され始める」と発言した。
同氏はまた、ウクライナ、ルーマニア、モルドバの間の協力はビジネス、インフラ、雇用にとって著しい後押しとなり、3国は一緒に強くなっていると強調した。
さらに同氏は、ウクライナとルーマニアは食料安全保障をはじめとする、安全保障面での重要なドナーとなっていると指摘した。
同氏は、「私たちは、ロシアが黒海やドナウ地域の一部を当然の航行にとっての死の空間に変えることを防ぐべく、あらゆる可能なことを行わねばならない。その点で重要なのは防空だ。私たちは、私たちの国全体とオデーサ州の防空を強めるために様々なパートナーたちと作業を行っている」と発言した。
その他同氏は、ルーマニアに対して、これまで提供を受けた全ての支援につき謝意を伝え、ルーマニアの人々が皆、ルーマニアと接するオデーサ州へのロシアの攻撃で用いられている、ミサイルやイラン製のものをはじめとする自爆型無人機が人々の命にどのような凄惨な脅威をもたらしているかを知っていると強調した。その際同氏は、「それは私たちの国にとってだけの脅威ではない」と補足した。
ヨハニス・ルーマニア大統領は、ロシアによる全面戦争が始まって以降のウクライナ発の穀物輸出の約60%がルーマニアを経由したものだと発言した。
ヨハニス氏は、「ルーマニアの港を通過する農産物の輸送能力を最大400万トンまで倍加することで合意した。ウクライナからの穀物輸出の総量の内の約60%がルーマニアを通じたものである。実質的に、戦争開始から、2700万トン以上のウクライナ発の穀物が私たちの国を通過してきた」と発言した。
また同氏は、ゼレンシキー氏に対して、ルーマニアはウクライナ支援継続のために全力を尽くしていくと伝えた。同時に同氏は、ルーマニアの農家の期待についても擁護する発言を行った。
これに先立ち、バルブ・ルーマニア農業相は4日、ウクライナ発の農産品のルーマニアへの輸出は、ルーマニアの農家と加工業者が行うもので、ライセンスがある場合に限って認めると発表していた。
また、9月には、チョラク・ルーマニア首相が、オーストリアメディアに対して、10月にはウクライナ穀物のルーマニアを通じたトランジットの量を増やす意向を表明していた。
なお、ゼレンシキー宇大統領は10日、ルーマニアを公式訪問している。