報道関係者に対する隠しカメラ設置に関する調査報道発表につきウクライナ保安庁コメント
ウクライナの調査報道で知られる報道プロジェクト「ビフス」が5日、自身たちの滞在場所に隠しカメラを設置していたのがウクライナ保安庁(SBU)国家性保護局の職員だったとする調査報道の発表を行ったところ、SBUはこれを受けて、同局に関する人事決定を採択したと発表した。
SBU広報室がコメントを掲載した。
発表には、「SBU幹部は、国家性保護局に関する関連人事決定を採択し、その活動の方向性を最適化した。私たちは、独立メディアは現代民主的社会の不可分の要素だとみなしており個別の人物のいかなる行為も、いかなる編集部や報道機関一般にも影を落とすことはできないし、SBU職員全員が国家と社会の利益の保護を保障し、敵に効果的に対抗することだけのために活動せねばならない」と書かれている。
同時に、SBUは、情報取得特殊機械の違法獲得・使用に関する刑事捜査を始めているとも伝えた。
その他SBUは、現存の情報によれば、国民に麻薬を提供していた売人の顧客の中に一部のビフス職員がいたことが明らかになったとも指摘した。
SBUは、ムービーカメラマンの1人が麻薬等の違法製造・取得・保管等の捜査対象となっていたと伝えている。
これに先立ち、5日、調査報道プロジェクト「ビフス・インフォ」は、2023年12月27日に同グループ編集部が滞在した休暇施設の部屋に隠しカメラを設置した作戦を実施した人物を特定したと発表していた。同休暇施設の監視カメラの動画により特定できたという。
ビフスの記者たちは、「同作戦を担当していたのは、SBUの国家性保護局である。動画から判断するに、機材の設置には、SBU作戦技術支援局も関与した」と発表していた。
これに先立ち、1月16日、調査報道プロジェクトとして知られる「Bihus」のデニス・ビフス代表は、Bihusのメンバーが禁止された物品を使用したなどとする挑発的な内容の動画が拡散されたと発表し、さらに、メンバーが違法に尾行されたり、盗聴されたりしてきたと発表した。
これを受けて、ウクライナの報道機関を調査する市民団体「マス情報研究所(IMI)」のオクサーナ・ロマニューク所長は同16日、ウクライナの報道関係者が体系的な圧力を受けているとして、政権に対応を要求した。同氏は、メディアを狙った攻撃、追跡、秘密裏の動画撮影というのは、民主国家では看過し得ないものだと訴えていた。
また、同国最高会議(国会)で「表現の自由」委員会の委員長を務めるヤロスラウ・ユルチシン委員長(野党会派「声党」所属)は、法執行機関に対する要請を準備しているとコメントしていた。
ゼレンシキー大統領は同17日、最近国内で起きている報道関係者に対する攻撃事案につき、記者に対する圧力はどんなものも看過できないとコメントしている。
ウクライナに駐在するG7の大使からなる「G7大使ウクライナ・サポート・グループ」は同29日、同国の報道の自由の状況を議論するために、ビフス代表やウクルインフォルム副総裁を含むウクライナの複数報道機関の関係者と会談していた。