ロシアが全面敗北する前に和平協議を開催するというアイデアは誤解を招くもの=仏専門家
フランスのニコラ・テンザー行政・政治学研究センター(CERAP)所長は19日、ロシアが現在の戦争で全面的な敗北を喫する前に和平協議を行うというアイデア自体は非常に誤解を招くものだとの見方を示した。
テンザー所長がキーウ安全保障フォーラムのG7首脳会議と「平和サミット」に関するオンラインイベントの際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
テンザー氏は、スイスで開催された「平和サミット」につき、ウクライナのパートナー国がロシアにより違法に連れ去られたウクライナ児童の帰還を促進したり、ウクライナの領土一体性を支持したりする約束はの肯定的な点だと指摘した。他方で同氏は、現在平和に関するサミットを開催するのは時期尚早だと述べ、「何よりまず戦争に勝たねばならないのであり、戦争に関するサミットを開催しなければいけない」との見方を示した。
その際同氏は、「それ(ウクライナの勝利)が私たちの共通の目的とならねばならない。私たちは、ウクライナがこの戦争に間違いなく不可逆的に勝利できるように、あらゆる必要なものを提供せねばならない。私は数週間前にウクライナを訪れ、ウクライナ人とやりとりしており、そのプロセスを加速せねばならないことを知っている」と発言した。
さらに同氏は、スイスで聞かれたような、他の参加者と一緒にロシアを協議のテーブルに招待するというアイデアは、誤解を招くものだと指摘した。
同氏は、「私たちは、プーチン・ロシアが完全な敗北を喫するまでは、ロシアと話すことはできない。なぜなら、私たちが平和について話す度に、それは現在多くの首都で聞こえている『ロシアに譲歩すべきだ』『何とか合意すべきだ』といったロシアのナラティブを支持することになることだ。私は、それは非常に誤解を招くものだと思っている。私たちは、『和平協議』という言葉自体を控えねばならない」と強調した。
これに先立ち、6月15、16日、スイスのビュルゲンシュトックにて、第1回「グローバル平和サミット」が開催されていた。同サミットでは、核安全保障、食料安全保障、そして捕虜交換や児童など連れ去られた民間人の帰還といった人道問題が協議された。
大半の参加国が共同コミュニケを採択。同コミュニケには、ウクライナでの核兵器の使用が容認できないこと、食料安全保障を武器として使うことは容認できないこと、捕虜の完全交換や民間人のウクライナへの帰還が訴えられている。