ハンガリー首相のモスクワ訪問は平和使節ではなく侵略国との宥和=欧州委員長

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員会委員長は18日、2週間前に行われた「EU加盟国首相の1人」によるモスクワ訪問は、「平和使節」ではなく、侵略国との宥和であったとし、その侵略国はその後、その試みにキーウの小児病院と産科病院への攻撃で応えたと指摘した。

フォンデアライエン欧州委員長が欧州議会における、新しい欧州委員長任命に関する公聴会の際の演説時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

フォンデアライエン氏は、「私たちは自分の安全保障と防衛にもっと投資をしなければならない。ロシアは、ウクライナ東部で攻勢をいまだに続けており、消耗戦を遂行している。彼らは、次の冬を前回の冬よりもさらに困難なものにする。ロシアは、欧州と西側が弱くなることに期待している。そして、欧州の中には、単独でそれで遊んでいる者がいる。2週間前、EUから1人の首相がモスクワへ行った。その『平和使節』と称するものは、悲しき『宥和使節』以外のなにものでもなかった」と発言した。議場では、同氏の発言を支持する拍手が沸き起こった。

またフォンデアライエン氏は、その2日後にプーチンの軍機がキーウの小児病院と産科病院に対してミサイルを発射したことを喚起した。

同氏はその際、「私たちは、血の中に子供たちを見た。私たちは、小さな患者を安全な場所へと運ぼうとする母親たちを見た。その攻撃は誤爆ではなかった。それは、クレムリンから私たちの皆へのメッセージ、鋭いメッセージだったのだ。よって、欧州議会の親愛なる議員たちよ、私たちの返答もまた、明確なものでなければならない」と強調した。

そして同氏は、ウクライナの人々以上に平和を望んでいる者はいないとし、彼らは自由で独立した国ための公正かつ永続する平和を望んでいると指摘した。さらに同氏は、欧州は必要な限りずっとウクライナの側に立ち続けていくと明言した。

これに先立ち、オルバーン・ハンガリー首相は、2日にキーウを訪問した後、モスクワと北京を訪問し、ロシア・ウクライナ戦争終結のための独自の「和平イニシアティブ」の協議をしようとしていた。

EUは、このハンガリー首相の外遊当初から、そのような訪問の際にオルバーン氏は、自身と自国の立場のみを代表するのであって、EUの利益を代表する権限はないと発表していた。

ドイツのフィッシャー外務報道官は12日、ハンガリーがEU理事会議長に就任してから最初の数日のオルバーン同国首相の外政上の活動を批判している

ミシェル欧州理事会議長は、オルバーン・ハンガリー首相に対する書簡で、ハンガリーはEU理事会の議長国に就任しても、EUを代表して協議を行う権限は一切ないことを喚起している