ウクライナ元外相、ジョンソン元英首相の和平計画につき「論理が破綻している」

ウクライナのクリムキン元外相(2014〜2019)は、ジョンソン英元首相が発表した露宇戦争の「和平計画」は、ばらばらの意見の寄せ集めとして受け止めるべきであると指摘した。同時に同氏は、それがトランプ米大統領選候補に影響を及ぼす可能性には懸念を示した。

クリムキン元外相がラジオNVへのインタビュー時に発言した

クリムキン氏は、英デイリーメイルにおけるジョンソン氏のコラムの中身を額面通りには受け取らないとし、なぜなら彼はそれで稼いでいるからだと指摘した。同氏は、そのコラムは「現在読まれており、それによってボリスは叱られている」と述べつつ、ジョンソン氏は記事でトランプ氏を賞賛した後、「何らかのばらばらな意見の寄せ集め」を掲載していると指摘した。

そして同氏は、「そこには何の計画もなく、論理が破綻している。彼が『では、(2022年)2月24日(時点)の境界線で止まろうではないか』と述べていることに、私たちの多くが怒り、少なくとも苛立っている。なぜそこなのだ? なぜ止まるのだ? どうやって止まるのだ? そして彼は、私たちがここで何らかのロシアの言語やら何やらの要求を考慮すると述べているのだ。そのため、(編集注:ジョンソン氏の記事に)注意を向けるべきでないし、それを用意された計画として読むべきではない」と発言した。

同時に同氏は、ジョンソン氏の記事は「懸念させられる」ものだとも呼び、それを読むのはある意味で不快だったと述べた。その際同氏は、トランプ氏は予想不可能な人物であり、「誰が彼に影響を及ぼすか、彼が誰とその合意に向かうか、誰とは向かわないのか、誰にもわからない」とコメントした。

その上で同氏は、「ボリスの会談(編集注:ジョンソン氏とトランプ氏の会談)は、ある意味、肯定的だ。なぜなら、(ゼレンシキー)大統領とトランプ氏の電話会談が実現したのだし、どうやらそれはかなり悪くない雰囲気だったというのだから。そこは間違いなく肯定的だ。しかし、ボリスの周りには、宣伝と誇張が間違いなくある。ボリスは過大宣伝を行ったのだ」と発言した。

これに先立ち、ジョンソン元英首相は、トランプ氏が露宇戦争を終結させるために利用可能だとする「和平計画」を発表していた。その計画は、ウクライナは2022年2月24日の境界線まで戻り、クリミアはロシアの支配下に置かれたままとなり、代わりにウクライナは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)へと加盟する保証を受け取る、という内容。