プーチン露大統領の「ロシア人とウクライナ人は別の民族ではない」との主張、ウクライナ人70%が「同意しない」
最新の世論調査によれば、ウラジーミル・プーチン露大統領による「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」に関する主張に「同意しない」と回答したウクライナ人は約70%に上った。
11日、ラズムコウ・センターが7月29日から8月4日にかけて実施した世論調査結果を発表した。
設問は、「最近、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が論文『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性』を公開。その中で、同大統領は、とりわけ、ロシア人とは別のウクライナ人が存在すると想像するための歴史的基盤は一切なく、それはあり得なかったし、ウクライナ人とベラルーシ人を個別の民族としたのは、ソ連の民族政策の結果だった、と書いている。あなたは、プーチン氏のこの主張に同意するか?」と書かれている。結果は、「同意する」が12.5%、「同意しない」が70.4%、回答困難が17.1%であった。
地域別には、「同意する」との回答が最も少なかったのは西部で0.4%、これに対して、南部では18.8%、東部では21.8%だった。「同意しない」は、南部で58.8%、東部で52.4%だった。
年齢別回答を見ると、60歳以上に「同意する」との回答が若干多く16.1%(同意しないは66.3%)。18〜29歳の間では、「同意」が最も少なく9.7%、「同意しない」が70.4%だった。
民族別には、ロシア系ウクライナ人の間で「同意」回答が多く30.2%(同意しないは49.0%)、ウクライナ系ウクライナ人の間では、同意が10.9%、同意しないが72.5%だった。
支持政党別には、大統領系与党「人民奉仕者党」支持者の間では、同意5.8%、同意しない79.5%、ポロシェンコ前大統領の欧州連帯党支持者の間では、同意2.8%、同意しない92.1%、親露政党「野党生活党」支持者の間では、同意32.9%、同意しない40.3%だった。
今回の世論調査は、ラズムコウ・センターが2021年7月29日から8月4日にかけて、クリミアとドネツィク・ルハンシク両州一部被占領地を除く、ウクライナ全土の18歳以上の人物2019名を対象に対面式で実施したもので、理論的誤差は最大±2.3%だと発表された。
なお、7月27日、レイティング社が、「最近、プーチン露大統領が『ロシア人とウクライナ人を同じ歴史的・精神的空間に属する一つの民』だと発言した。あなたはこれに同意するか」との設問で調査を行った際には、55%がそう思わない、41%がそう思うと回答していた。
これに先立ち、12日、プーチン露大統領は、「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」と題する論文を公開していた。その論文は、「ロシア人とウクライナ人は一つの民である」とする従来の同氏の主張から始まっている。またプーチン氏は、「ロシアとウクライナの間にここ数年で生じた壁」を「悲劇のような大きな苦しみ」だと形容し、その責任は、ウクライナ人自身が自ら犯した過ちと外部勢力による「目的を持った活動」にあると主張している。
ゼレンシキー大統領は、ウクライナ人とロシア人は、「確実に一つの民ではない。それぞれに自らの道がある」と発言している。