「ロシアの拘束は強制収容所のようだった」=解放された救急医療士タイラ氏
ロシアに約3か月拘束され、被拘束者交換により解放された「タイラ」ことユリヤ・パイェウシカ氏は、拘束当時の条件につき「強制収容所のようだった」と語った。
20日、タイラ氏がフェイスブック・アカウントに書き込んだ。
タイラ氏は、「私はまだセルフィを投稿しない。すまない。私の体重は今、約50キロだ。私は、あまりにも衰弱しており、ひどい見た目になっている。しかし、最高の医者たちが私のことを診てくれており、私はすぐに列に戻る」と書き込んだ。
同氏は改めて、自身の解放に至った被拘束者交換につき謝意を述べた上で、解放を「神の奇跡のようだ」と形容した。
同時に、「何よりも、敵に今も拘束されている男女たちの運命を思うと苦しい。あそこにいたら、希望などなく、ウクライナはもう国家として存在していないかのように思えてしまうのだ」と拘束当時の気持ちを語った。
さらにタイラ氏は、全ての被拘束者の人権が国際法で保護されるようにしなければならないとし、「なぜなら、私たちはあそこで、奴隷のように、完全に権利がなくなっていたからだ」と強調した。
同氏は、ロシア側は被拘束者に対して何も渡さないし、家族に関する情報も一切なく、医療支援もなかったと指摘した。
そして同氏は、拘束時の条件は強制収容所を思わせるものだったとしつつ、「これは衝突ライン沿いの石袋の中で起きていることのほんのわずかなパーセンテージのことなのだ。このテーマは、痛みを覚えさせる激しいものだ。全ての被拘束者が解放されねばならない。交換の管理システムとアルゴリズムが作られねばならない」と強調した。
これに先立ち、17日、ゼレンシキー大統領は、マリウポリ防衛戦の際にロシア側に拘束されたと見られていた救急医療士のコードネーム「タイラ」ことユリヤ・パイェウシカ氏を解放できたと発表していた。
なお、「タイラ」ことユリヤ・パイェウシカ氏は、活発なボランティア活動で有名な救急医療士であり、8年間にわたり、東部ドンバス地方で軍人や民間人の救助をしていた人物。
タイラ氏は、合気道のコーチもしており、デザイナーでもある。2月24日のロシアの全面的侵攻が始まってからマリウポリで救急医療士としての活動をしていたが、3月16日にロシア側に拘束された。同氏は、「タイラの天使たち」という名前で住民避難のためのチームを作って活動していた。国防省系メディアの「アルミヤインフォルム」の情報によれば、2019年時点ですでにタイラ氏は500人以上の軍人の命を救っていたという。
また、タイラ氏は以前、自身のコードネームはかつてオンラインゲームをしていた時に偶然選んだ日本の歴史上の苗字「平」から取ったと説明していた。