多くのクリミア住民は黙っていながらも、ウクライナ軍の到着を待っている=クリミアの活動家
ロシアの占領するクリミアからロシアが設置した多くの検問所を通ってウクライナ政府管理地域へと脱出できた、クリミアの活動家ヴァシリ・サモイロウ氏は、クリミアにてウクライナを支持する住民は、実際には占領当局やメディアが伝えるよりもはるかに多いと述べている。
22日、クリミア自治共和国ウクライナ大統領代表部がフェイスブック・アカウントにて伝えた。
発表には、「クリミア住民は、クリミアには、占領政権治安機関やメディアが示すよりも、はるかに多くの親ウクライナ住民がいると強調している」と書かれている。
代表部よれば、サモイロウ氏は、多くのクリミア住民が「黙っている」が、同時にウクライナ軍の到着を待っているのだと指摘した。同氏によれば、彼らが黙っているのは、被占領地にて活発にウクライナの領土一体性を支持して見せるのは命に危険が生じるからだと説明した。また、被占領下クリミアでは、強力な弾圧とプロパガンダが行われていると指摘した。
サモイロウ氏は、自身がクリミアで行ってきた活動として、ソーシャルメディアでの活動、自身の出身地サキ市を中心とする親ウクライナ反戦運動の組織を指摘した。
なぜもっと前にクリミアを離れなかったのかとの質問に対しては、サモイロウ氏は、全ての親ウクライナ住民がクリミアを去ってしまったら、「私たちがこの闘いで負けてしまうからだ」と答えた。
他方で、今年2月24日のロシアによる対ウクライナ全面的侵略戦争が始まると、同氏のところには、家にロシア連邦保安庁(FSB)職員が訪れる可能性があるとのメッセージを受け取ったと指摘した。同氏は、その前に被占領地からの脱出は計画していたとし、全面的侵攻が始まると、ウクライナ軍に志願したいと思ったと伝えた。
同氏は、ウクライナ政府管理地域への移動で最も大変だったのは、ロシアFSBの審査、ロシアが設置した検問所の通過だったと伝えた。脱出成功に最も重要だったのは、「聞こえの良い伝説」があること、携帯電話の各種履歴が「きれいになっている」こと(ロシア側に関心を持たれないように)、そして、何時間もの尋問に対する心の準備だと指摘した。
そして、同氏は、「通過検問地点ジャンコイ(クリミア)〜チョンハル(ヘルソン州)を通って移動した。FSB職員が私たちをチェックする際、彼らは検問地点に物を置いていけと言い、身分証明書を取り上げ、『かご』の中で尋問を行うために私たちを待たせた。『かご』とは、大体20メートル四方の、白い網で覆われた檻である。要は人を拘束しておくためのものだ」と説明した。
ウクライナ政府管理地域へ到達するには、37個ものロシアの検問所を通り抜けねばならなかったという。FSB職員に聞かせるために考え出した「伝説」も役に立ったし、職員側が不注意だったり、酔っ払っていたりしたことも救いだったと指摘した。そして、サモイロウ氏は、政府管理地域へのザポリッジャ市に到着し、必要な文書の取得手続きをし、その後キーウへ向かったのだという。