米タイム誌、ゼレンシキー宇大統領と「ウクライナの精神」を「今年の人」に選出

米タイム誌は、ウクライナのヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領と「ウクライナの精神」を2022年の「今年の人」に選出した。

タイム誌がウェブサイト上で発表した

タイム誌は、同選出に伴う特集記事にて、「ゼレンシキー氏の戦時下のリーダーとしての成功は、勇気とは伝染するものという事実によっている。皆が大統領はそこに残ることを認識した侵攻最初の数日、それはウクライナの政治首脳陣の間に広まった。危機化におけるリーダーにとってそれが自然なことだと思うなら、歴史の前例のことを考えて欲しい。アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領はゼレンシキー氏よりもはるかに経験の豊富な首脳だったが、彼はそのたった6か月前にタリバン勢力が近づくと首都から脱出している。2014年、ゼレンシキー氏の前任者の一人であるヴィクトル・ヤヌコーヴィチ氏は、抗議者たちが彼の住居に近づくと、キーウから逃げ出した。彼は今日もロシアにて暮らしている」と説明した。

また同誌は、ゼレンシキー氏の職業的本能は、俳優、即興喜劇の専門家、映画プロデューサーとしての活動期に得たものだと指摘している。

同誌は、「その経験には優位があることがわかった。ゼレンシキー氏は、適応でき、圧力下にあっても自制心を失わないよう鍛えられている。彼は、大衆をどのように読み取るか、大衆の気分と期待にどのように応じるかを知っていた。今、彼の聴衆は、世界だ。彼は、人々を失望させないことを決意している」と説明している。

もう一つの選出である「ウクライナの精神」については、同誌は、多くのウクライナの人々が、自らの命のために逃げ惑う代わりに、手に入れられる武器であれば何でも手にして、戦車やヘリで攻めてくる侵略軍から自らの町を守るために向かったことを挙げている。

その他、同誌は、戦場における決定を下さなければならなくなった時、ゼレンシキー氏はいつも人命に意識を集中させており、もし別の手段を選んだ場合、どれほどの命が失われるかを考えていると指摘している。

ゼレンシキー氏は、インタビューにて、「私たちは、より多くの戦力で、もっと早くヘルソンへ入り込むことはできたかもしれない。しかし、私たちは、(その場合)どれだけの人が死ぬかも理解していた。それが別の戦術が選ばれた理由であるし、神に感謝するが、その戦術はうまくいったのだ。私は、それが私たちの何らかの天才的な行動だったとは思っていない。それは、知恵が速度や野心に対して勝っているということである」と発言した。

記事には、ロシアは核保有の超大国であり、同国の軍がウクライナの町から何度追い出されようとも、彼らは再編して、再挑戦することができる、と書かれている。ゼレンシキー氏は、「私たちは、ウクライナを理不尽な形で手放したがらない強力な国と事を構えている。彼らは、ウクライナの民主主義と自由を、自分自身の生存の問題として見ているのだ」と述べている。そして、同氏は、そのような敵に勝利する唯一の手段は、一時的休戦を勝ち取るのではなく、この戦争に勝利すること、ウクライナを主権、独立、平和の方向へと向かわせるよう、他の自由世界を説得することだと指摘する。さらに同氏は、ある国で自由が失われることは、他の全ての国の自由を蝕むことだと主張している。

同記事では、ゼレンシキー大統領の勝利のビジョンが、今は「ウクライナ領の解放」を超えたものとなっていると説明されている。

なお、これに先立ち、英フィナンシャル・タイムズ誌も、ゼレンシキー宇大統領を「今年の人」に選出していた