ゼレンシキー宇大統領、グレゴリオ暦のクリスマスをお祝い

ウクライナのゼレンシキー大統領は、12月24日の西方キリスト教徒によるグレゴリオ暦の降誕祭(クリスマス)を祝う動画メッセージを公開した。その際同氏は、今年、ウクライナ人にとって全てのお祝いは、ロシアが始めた全面戦争により、苦味を帯びていると指摘した。

ゼレンシキー大統領がフェイスブック・アカウントに動画を公開した

ゼレンシキー氏は、「この数日、ウクライナと世界の何百万の人々がキリスト降誕祭を祝っている。神の子の世界への降誕は、人々に救済の願い、善と慈悲の勝利への信念を授けることとなった。残念ながら、今年、私たちにとって全てのお祝いは苦味を帯びており、私たちは、伝統的なクリスマスの精神をいつもと異なる形で感じることになっている。家族で囲む晩餐は、それほど美味しくも温かくもないかもしれないし、食卓の側には空席があるかもしれない。私たちの住まいや通りは、それほど華やかではないかもしれない。そして、空襲警報のサイレン、あるいは、より酷ければ、銃声と爆発音により、クリスマスのベルの音はそれほど大きくはならず、鼓舞することもないかもしれない」と発言した。

同氏は続けて、ウクライナの人々は冬のお祭りを困難な状況下で迎えているとし、「ある者は、バフムート、ルビージュネ、クレミンナの上空で最初の星を見ることになる。(中略)ある者は、お祝いを人の家で迎える。しかし、他人の中でではなく、ウクライナ人を匿ったウクライナ人の間でだ。ある者は、『シチェドリク』(編集注:クリスマスキャロルの名)を別の言語で聞くだろう。ワルシャワや、ベルリンや、ロンドンや、ニューヨークや、トロントや、その他多くの町、国で」と述べた。

同時に同氏は、人によっては、クリスマスを拘束された中で迎えると喚起し、他方でその人は、「私たちは自分たちの人々のところへも向かっている、私たちは全てのウクライナ人に自由を取り戻す」ことを覚えておかねばならないと強調した。

同氏は、「私たちがどこにいようと、私たちは今日は一緒だ。私たちは願いを思い出している。皆にとって1つの願いだ。そして、喜びを感じている。皆にとって1つの喜びだ。そして、真実を理解する。皆にとって1つの真実をだ」と発言した。

同氏はさらに、ウクライナ人はお祝いをしつつも、奇跡は待たない、奇跡は自分たちで作り出すのだと述べた。

その他同氏は、ウクライナ人に対して悪と闇が向けられた、悪と闇は、私たちが世界の善と正義を信じなくなることを望んでいる、ウクライナ人は300日と8年対抗してきたのであり、悪と闇に望みを達成させないでいると指摘した。

その上で同氏は、「この戦いで、私たちは、もう1つの強力かつ有効な武器を有している。私たちの魂と意識の槌(つち)と剣だ。神の叡智だ。勇敢さと勇気だ。私たちを善行に向かわせ、悪を克服させる美徳だ。勇気の主な行動は、忍耐と自らの行動を何があっても最後までやり遂げることだ。私たちの道は、真実に照らされている。私たちはそれを知っている。私たちは真実を守っている。私たちの真実は、自由をめぐる戦いだ。自由は高い代償を要す。しかし、奴隷の代償はさらに高い」と強調した。

同氏は、ウクライナの人々は、戦争がはじまりに、侵攻、脅迫、核の恫喝、テロ、ミサイル攻撃を耐えたと述べ、「私たちはこの冬を耐える。なぜなら、何のために戦っているかを知っているからだ」と発言し、ウクライナの人々は、道の終わりに何が待っているかを知りながら、茨の道を前に進んでいるのだと強調した。

加えて同氏は、涙は喜びに変わり、絶望は希望に変わり、生が死に勝利すると述べた。

そして、同氏は、「私たちは、多くの苦しい知らせを経験したし、当然良い知らせを受けることになる。私たちは、元気にクリスマスキャロルを歌っていく。かつてないほどに元気に、発電機の音よりも大きく。私たちは、親族の声や挨拶は心の中で聞く。たとえ、通信やインターネットが途絶えていてもだ。たとえ真っ暗闇の中でも、私たちは互いに見つけ合い、互いに抱きしめ合う。そして、暖がなければ、長く互いに抱き合って、温め合うのだ」と伝えた。

なお、ウクライナでは、12月25日と1月7日がクリスマスとして国家の祝日と定められている。

写真:大統領府