84%のウクライナ国民、平和のための領土面の譲歩は「すべきでない」
ウクライナで実施された最新の世論調査の結果によれば、84%のウクライナ国民が、たとえ戦争が長引くことになったり、その他の脅威が生じたりするのであっても、自国の領土に関する譲歩は一切すべきでないと考えていることがわかった。
キーウ国際社会学研究所が5月26日から6月5日にかけて実施した世論調査の結果を公開した。
同調査の結果によれば、「ロシアとの間の平和を達成するためにあり得る譲歩として、あなたがより同意する主張はどれか」との設問にて、84%が「たとえそれにより戦争が長引き、独立維持への脅威が生じるのだとしても、ウクライナはどのような状況下であっても一切の自国領土の断念をすべきでない」と回答した。これに対して、10%は「できるだけ早い平和の達成と独立の維持のために、ウクライナは一定の自国領土を断念することはあり得る」と回答した。
研究所は、この回答につき「2022年5月から2023年5月までの過去1年間、世論には決定的な変化はほぼなかった。調査の度に、絶対的多数の回答者(82〜87%)が領土面の妥協に反対し、絶対的少数(8〜10%)が妥協の準備を示した」と解説した。
なお地域別回答では、西部では86%が領土面の譲歩に反対、9%が同譲歩に準備あり、中部では84%が反対、12%が準備あり、南部では86%が反対、8%が準備あり、東部では75%が反対、13%が準備ありとなっている。
また主要生活言語別回答でも、ウクライナ語話者(反対85%)、ウクライナ語・ロシア語両言語話者(反対83%)、ロシア語話者(反対80%)の間に大きな差は出ていない。
なお、研究所は、今回の調査時に、自らのアイデンティティを「民族的ロシア人」と答えた回答者は(1029人中)19名のみだったため、母数としては不十分だとしつつも、その内、領土面の譲歩の用意があると回答したのは2名のみ、領土面譲歩に反対すると回答したのは15名だったと報告した。
今回の世論調査は、キーウ国際社会学研究所がCATI(Computer Assisted Telephone Interviewing)方式で、クリミア自治共和国を除くウクライナ全土の18歳以上のウクライナ国民1029名を対象に実施したもので、理論的誤差は最大±3.4%だと書かれている。