イスラエル・ガザ戦争とロシア・ウクライナ戦争は全く異なる=歴史家スナイダー

イェール大学の歴史家ティモシー・スナイダー氏は、ロシア・ウクライナ戦争ではどちらかが勝ち、どちらかが負けねばならないのと異なり、ガザ地区における対立は政治的決定で終わることのできるものだとの見方を示した。

ニューヨークでのドキュメンタリー映画「A Rising Fury」の上映会後にスナイダー氏がウクルインフォルムにコメントした。

ウクルインフォルムの特派員が現在の2つの戦争の共通点と相違点についてコメントを求めると、スナイダー氏は、「ウクライナにおける戦争は、倫理的評価の観点からは、想像できる範囲で最も容易な戦争の1つである。侵略とジェノサイドの全てが一方にあり、ひどいプロパガンダとテロリズムもまた一方にある。イスラエルとガザの間の戦争は、全く異なる」と発言し、イスラエル・ガザの間の戦争ははるかに複雑だと強調した。

同氏は、「私は、一つの相違点は、ガザでの戦争は迅速な政治的終結に達する可能性がはるかに大きいことにあると思っている。他方、ロシア・ウクライナ戦争は、近く政治的決着に達することはない。なぜなら、誰かが勝たねばならず、誰かが負けねばならないものだからだ」と発言した。

また同氏は、映画の観客からの議論の際の質問に答える形で、米国や欧州によるロシアの政治に直接影響を与える能力については「非常に懐疑的」との見方を示した。

同時に同氏は、「最善の対露政策は、良好な対ウクライナ政策である。私たちがロシアに正しい方向性で影響力を与えることのできる唯一の手段は、ウクライナを支えることなのだ。私は、ロシアがこの戦争に負けるように、私たちが行動しようとしていることは、正しい行動だと思っている」と発言した。

その他同氏は、ウクライナでは真の変化を達成できる可能性があると強調し、「もしウクライナがそれを乗り越え、成功した憲法的多様性のある社会となれば、その後同国はロシアにとっての模範となり、ロシアの人々はそのようなことが可能だと目にすることになる」と説明した。

また同氏は、多くのロシア国民は、「帝国的戦争を行って、敗北しない限り、自国の政策全てがそこに集約することになる」ことを理解しており、戦争にてロシアが敗北することを望んでいると発言した。