ウクライナで信頼が高いのは軍とボランティア
ウクライナで実施された同国の政権・軍・社会における信頼度を調べる最新の世論調査によれば、2023年12月の時点で、国民が最も信頼を寄せているのはウクライナ軍であることがわかった(96%)。その他、ボランティアを信頼するとの回答者も84%と高い反面、政権機関、報道機関、教会は昨年12月から信頼を落としていることもわかった。
キーウ国際社会学研究所が2023年11月29日から12月9日にかけて実施した世論調査の結果を公開した。
発表には、2022年12月の調査と今回の調査の結果が比較されている。これによれば、最高会議(国会)への信頼は昨年の35%から15%に減少しており、不信の回答は34%から61%に増加している。また、政府への信頼も52%から26%へと減少し、不信が19%から44%に増加している。
また、大統領への信頼は昨年の84%から62%に減少している。これにつき、研究所は、「大統領のケースも減少傾向があるが、他方で、彼はウクライナ社会の間の信頼を概ね維持している。現時点では62%が大統領を信頼しており、18%が信頼していない。2022年12月には、84%が大統領を信頼し、5%が信頼していなかった。(中略)つまり、一方では、私たちは(編集注:大統領への信頼の)著しい減少を目にしているが、しかし、他方で、大統領を信頼する人は、信頼しない人と比べて、著しく多く、彼が明らかに肯定的に見られていることには変わりがない」と指摘している。
同時に、ウクライナ軍への信頼は、2022年12月の調査時も今回も96%と高い水準だった。またザルジュニー・ウクライナ軍総司令官を信頼するとの回答は88%、信頼しないとの回答は4%だけだった。
その他、保安庁(SBU)への信頼は、昨年の63%から少し減少して、今回は58%。警察への信頼も、昨年58%から41%まで減少した。
また、ゼレンシキー大統領もザルジュニー総司令官も両方信頼すると答えた加藤者は59%だった。どちらかだけを信頼すると回答は多くなく、ザルジュニーを信頼しつつ、ゼレンシキーは信頼しないとの回答は14%のみで、ゼレンシキーを信頼しつつ、ザルジュニーは信頼しないとの回答は1%のみだった。
その他、裁判官と検察官への信頼が昨年と比べて著しく減少している。今回の調査で、裁判官を信頼すると回答したのは12%、検察官は9%だった。両者を信頼しないとの回答はそれぞれ、61%と64%に上った。
その他、ボランティアを信頼するとの回答は引き続き多く、今回の調査で84%が信頼すると回答、3%のみが信頼しないと回答した。
ウクライナの報道機関は信頼を大きく減らしており、2021年12月調査時の水準に戻っている。2022年の調査時にウクライナの報道機関を信頼すると答えたのは57%だったが、今回は29%と減少。信頼しないとの回答は、14%から40%に増加した。
また、教会も毎年信頼を落としている。2021年に教会を信頼すると回答したのは51%だったが、2022年には44%、今回は38%に減少した。
キーウ国際社会学研究所は、政権批判はウクライナの全ての地域で増加しているが、同時に全ての地域で過半数が大統領を信頼していると回答したと指摘している。また、全ての地域で、圧倒的多数がウクライナ軍、ザルジュニー総司令官、ボランティアを信頼していると回答したと総括されている。
今回の世論調査は、キーウ国際社会学研究所がCATI方式で、携帯電話番号のランダム抽出でクリミアを除く全てのウクライナの地域の住民1031人を対象に実施したもの。回答者は18歳以上のウクライナ国民で、調査時に、2022年2月24日までウクライナ政権管理下にあったウクライナ領内に暮らしていた人物であり、2022年2月24日までにウクライナ政権が一時的に管理していなかった地域(クリミア自治共和国、セヴァストーポリ、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域)の住民は含まれていない。また、国外の国民も対象にしていない。理論的誤差は最大で3.4%となると説明されている。
キーウ国際社会学研究所は、戦時という条件下では、前述の誤差にさらに一定の回答拒否が加えられると指摘しており、同時に回答結果はいずれにせよ高い代表性が維持されており、世論を十分理想的に分析することができるものだと評価している。
写真:参謀本部