ウクライナ、過去1年で民主主義指数を改善=フリーダム・ハウス

国際NGOO「フリーダム・ハウス」は、ロシアの対ウクライナ全面戦争が続き、しかも中東欧・中央アジア地域では民主主義ガバナンスの水準が総じて低下している中で、ウクライナは2023年を通じて民主主義指数を改善させたと報告した。

フリーダム・ハウスが中東欧・中央アジアの29か国の民主主義指数を調査する2024年版の「移行国」報告書にて伝えた

報告には、2023年を通じて、これら29か国の内10か国で前年と比べて民主主義指数の低下が観察され、5か国で改善が見られたとあり、その5か国の中で、ウクライナが最も改善程度が大きかったと書かれている。

ウクライナの民主主義指数は前年の3.36から3.43に改善しており(最大は7)、「ハイブリッド体制」に分類されている。

また報告には、ウクライナが司法・反汚職機構の構築にて著しい進展を達成し続けているとあり、さらに軍を含む、賄賂の捜査を積極的に行い続けていると指摘されている。

さらに、「モスクワからの存亡の危機に直面しながら、強靭な民主主義を構築しようとするウクライナの動きは、最も顕著な事例である。2014年の尊厳革命とその後のロシアの侵攻によって、古い腐敗システムが露呈し、新しい改革派の人員によって根絶やしにされたことで、ガバナンスに劇的な変革がもたらされた。モスクワの2022年の全面侵攻は、そのプロセスを、止めるどころか、特定の分野で強化した。2023年、ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領の政権は、ウクライナの裁判所と汚職対策機関の効率を改善するための措置を講じて、司法と軍における汚職捜査を期待させた」と書かれている。

なお、地域29か国の中で、最も高い指数を得たのはエストニアの6.00。続いて、ラトビアとスロベニアが5.79で、「統合された民主主義」に分類されている。他方で、評価が低いのは、トルクメニスタン(1.00)、タジキスタン(1.04)、ロシア(1.07)、アゼルバイジャン(1.07)、ベラルーシ(1.11)で「統合された権威主義体制」に分類されている。

報告では、権威主義体制が地域の民主的な統治に対する攻撃を強め、弱体化させていると指摘されている。

さらにフリーダム・ハウスは、民主的な国々に対して、軍事訓練への投資を増やし、ウクライナがロシアの侵攻に勝利するのに必要な武器の供与を行う準備を行うよう呼びかけている。その際、「そうしなければ、現在の否定的な傾向を固めてしまい、この地域でも、世界中でも、権威主義的な拡大を抑止するための将来の費用を高めることになるだけである」と書かれている。

なお、ウクライナは、汚職・腐敗防止活動を行う国際NGO法人「トランスペアレンシー・インターナショナル」(TI)の2023年の世界腐敗認識指数ランキングにて、前年の評価からポイントを3つ改善し、ランキングでは180か国中104位となっている。