戦勝を信じるウクライナ国民 83%
ウクライナで実施された最新の世論調査によれば、ロシアとの戦争にウクライナが勝利することを信じるウクライナ国民の割合は83%に上ることがわかった。また、勝利を信じると答えた回答者の内の38%(全体の約31.5%)が、勝利とは、ロシア軍をウクライナ全土から追い出し、2014年1月時点の国境を回復することだと答えた。
ラズムコウ・センターが9月20日から26日にかけて実施した世論調査結果を発表した。
発表によれば、回答者の内83%が戦争におけるウクライナの勝利を信じていると回答(「信じている」60%、「どちらかといえば信じている」23%)。地域別では、南部が72%、東部が75%、西部が87%、中部が88%。信じていないとの回答は全体の11%だった(中部では7%、南部では21%)。
過去の調査と比べると、ウクライナの「勝利を信じている」との回答は、2023年2、3月には93%、2023年12月は88%、2024年3月は83%、2024年6月は80%と徐々に減少して推移していたが、今回は前回と比べて若干「信じている」の回答が増加している。
また、「勝利を信じている」と回答した者の内の39%は、勝利は1〜2年後に生じると回答し、19.5%は年内に、15%は3〜5年後に生じると回答した。また、5%は5年以上先に、2%は「自分の生きている内にはまずないだろう」と回答した。
なお、過去の調査と比べると、2023年2、3月調査時の結果が最も楽観的で、当時の結果では50%が2023年以内に勝利が生じるだろうと回答していた。
さらに、発表には、「勝利を信じる」との回答者に対して、「何を勝利とみなすか」と質問すると、「ウクライナ領全てからロシア軍を追放し、2014年1月時点の国境を回復」が38%と、最も多い回答となった。次に多かったのが、「ロシア軍の壊滅、ロシア国内の蜂起促進/ロシア崩壊」との回答で、17.5%。また17%は、2022年2月23日時点の状況に戻すことを勝利とみなすと回答。7.5%は、被占領下クリミアを除くウクライナ領全てからロシア軍を追放と回答。8%は、ロシア軍が(2022年2月24日以降に)制圧したウクライナ領内に残ったままででも、戦争を終了することを勝利とみなすと回答した。
その他、「ウクライナに平和をもたらす可能性が大きいと思うものは何か」との設問で、最も多かった回答は「西側諸国からウクライナのために西側の武器で制限なくロシア領内の目標を攻撃する許可」で、47%だった。これに対して、「ウクライナとロシアの間の協議」との回答は29%だった。
同時に、「武器制限のない西側武器での攻撃許可」が平和をもたらすとの回答は、「勝利を信じている」と答えた回答者の間の方が、「信じていない」との回答者より多かった(前者は52%、後者は18%。反対に、「ウクライナとロシアの間の協議」の回答は、勝利を「信じていない」回答者の間で多かった(制限解除18%、協議56%)。また、ロシア軍が領土内に残ったままででも戦争を終結させることを「勝利」とみなすとの回答者の間でも、「制限解除」より「協議」の回答の方が多かった(解除15%、協議67%)。
また、ウクライナ防衛戦力のロシア領クルスク州での作戦実施に関連して、ウクライナ軍がロシア領でも戦闘を実施することへの評価を質問すると、回答者の58%が肯定的に評価、20%が否定的に評価、7%が関心がないと回答した。また、同設問でも、「勝利を信じている」との回答者の方が「信じていない」との回答者より、ロシア領での戦闘実施を肯定的に評価した(前者の65%が肯定的、15%が否定的。後者の22%が肯定的、50%が否定的)。
今回の世論調査は、ラズムコウ・センターが2024年9月20日から26日にかけてウクライナ全土のウクライナ政府管理地域かつ戦闘が行われていない地域で対面式で、18歳以上の人物2016名を対象に実施したものであり、理論的誤差は最大で±2.3%だと書かれている。また、ロシア侵略によって、数百万人の国民が避難しなければならなくなった点などによる生じる追加的な体系的偏差があるとも説明されている。