【ロシアの偽情報】ウクライナ西部で「ハンガリー語地域」のハンガリーへの編入を問うアンケート調査実施?

ファクトチェック

ロシアのプロパガンディストたちは、今回はインスタグラムの宣伝を偽造した。

執筆:アンドリー・オレーニン

ロシアのプロパガンダが広められるテレグラム・チャンネルには、ウクライナ西部ザカルパッチャ地域を対象に「ベスレン・ガーボル学校」がインターネット・アンケート調査をあたかも「実施している」かのように見せるスクリーンショットが拡散されている

画像には、住民に対する設問として、「ザカルパッチャの複数地区がハンガリーに編入されるという案についてどう思いますか?」「住民投票が実施された場合のあなたの投票行動は?」「ウクライナはどのように反応するでしょうか?」「それはEUやNATOが解決すべきことですか?」などと書かれている。

プロパガンダ・チャンネルは、これはハンガリーがウクライナ領の一部を「編入」する準備を示す証拠だと主張している。

実際にはこれは偽画像である。そのような「アンケート」は、ベスレン・ガーボル学校のインスタグラム・アカウントには存在しない。同大学は、ルーマニアのアユド市にあるハンガリー語で基本・一般学校教育を提供する全寮制の学校で、世論調査には全く関係がない。

プロパガンディストたちは、画像編集ソフトを使って、この学校名義のウクライナ語による投稿のための対象者を絞った広告かのような偽のアンケートを作成したのである。なお、その「アンケート」へのリンクはどこにもない。

このようにしてロシアのプロパガンディストは、NATO加盟国がウクライナ領を占領しようとしているという新たな偽情報を作り出したのである。彼らは、自らの偽情報の信頼度を増すために、学校を利用することを決めたものの、それが全寮制学校で、そのような水準の調査は行っていないことは確認しなかったのだ。

なお、フェイクのために使われた画像には、ザカルパッチャ州フスト地区コロチャヴァ村が描かれている。その自治体には、主にウクライナ系民族グループである、ボイコ、レムコ、フツルが暮らしている。

ロシアはプロパガンダで、ウクライナ、人工的に作られた国で、隣国によって分割されるべきだ、とする偽情報ナラティブを拡散し続けている。そのために、欧州の国の側からウクライナ領を併合する試みがあるかのような偽情報が拡散されている。ロシアは、そうすることで、少数民族問題について印象操作を行って、ウクライナとハンガリーの関係を悪化させようとしているのだ。