ロシア、2000人以上の児童をロシア領に移送 ウクライナ側は抗議
21日、ウクライナ外務省広報室がコメントを公開した。
外務省は、「取得した情報では、3月19日、ロシア占領軍は、ロシア連邦領に、ドネツィク・ルハンシク両州一時的被占領地に滞在していた児童2389名をロシア領に違法に移送した。民間人、特に児童、の侵略国領土への強制移送は、拉致の兆候を有す。そのような行為は、国際法、とりわけ国際人道法への著しい違反である」と伝えた。
その上で外務省は、国際社会に対して、ロシアの蛮行を止めるべく、違法な児童の移送への速やかな対応と、ロシアへの圧力の強化を呼びかけた。
本件につき、在ウクライナ米大使館は22日、ツイッター・アカウントにて、「ウクライナ外務省の情報では、ロシア軍は、ロシアへと2389人のウクライナの児童をドネツィク・ルハンシク両州から違法に連れ去ったという。それは支援ではない。それは拉致だ」とコメントした。
また、デニーソヴァ・ウクライナ最高会議人権問題全権は22日、フェイスブック・アカウントにて、本件につき説明を行った。
デニーソヴァ氏は、「ロシア軍がいる自治体では、住民のために、侵略国領へと連れ去るためのいわゆる『人道回廊』が組織されている。女性、子供、高齢者が、持ち物検査をされ、ウクライナの身分証明書、携帯電話を奪われ、ロシアの国境沿いの州に送られている。そこで彼らは強制収容所に入れられ、その後は、ロシア国内の廃れた地域へと移住させられる」と書き込んだ。
同氏はまた、人々は、親族との通信手段を持たず、食べ物も最低限の必需品も得られずにいると指摘した。
さらに同氏は、「現時点で、移送された人物の数に関するデータはない。検事総局が、ロシア領への2389名の児童の一時的被占領下ドンバスからの違法な移送の事例に関する裁判前捜査を行っている。しかし、ロシアのメディアは、事実を歪めて、侵略成果を誇張しており、ドンバスからの20万6000人の『避難民』がいるなどと述べている。何万というドネツィク・ルハンシク州住民が被占領地から強制的に移送されたと予想することが可能だ」と発言した。
同氏はまた、ロシア側は、類似の侵略国領土への「人道回廊」をハルキウ州、チェルニヒウ州、スーミ州、キーウ州で作ろうとしており、強制的に移送された人々がどうなったのか、現時点ではわからないと指摘した。
同氏は、侵略国のそのような行為は、住民の拉致に分類されるものであり、戦争犯罪であり、戦時における文民の保護に関するジュネーブ条約(第4ジュネーブ条約)第3条と第34条、市民的及び政治的権利に関する国際規約第9条、欧州人権条約第5条に直接的に侵害していると指摘した。
その上で同氏は、国際社会に対して、ロシアに対する制裁を定める際に、侵略国軍のテロ活動を考慮するよう要請した。
また、同氏は、ウクライナ国民に対して、占領軍を信用しないようにと呼びかけ、避難の際には公式に認められた人道回廊だけを利用するように要請した。