ブチャだけで市民殺害・拷問数は300人以上=ゼレンシキー宇大統領
ゼレンシキー大統領が5日未明の動画メッセージで発言した。
ゼレンシキー氏は、4日日中にブチャを訪問したと報告し、「私たちは、占領者が犯したことの全ての捜査を始めたところである。この期間、ブチャだけで300人以上が殺害され拷問されたことが判明している。おそらく、町全体を確認したら、犠牲者のリストははるかに大きくなる」と発言した。
また同氏は、ブチャはロシア軍が制圧したウクライナの町の内の一つに過ぎないとし、現在、キーウ州ボロジャンカやその他の解放された町でも犠牲者の数がブチャのものより多い可能性があるとする情報がすでにあると発言した。同氏は、「キーウ州、チェルニヒウ州、スーミ州で解放された地区の多くの村にて、80年前のナチス占領時にすら見られなかったようなことを、占領者は犯してきた」と発言した。
その上で同氏は、ロシア軍が「マリウポリの民間人大量殺害についての自らの罪を隠すための嘘キャンペーンを開始している」と報告した。具体的に同氏は、ロシア軍が何十ものマリウポリ住民への偽装インタビューを作ったり、動画をつなぎ合わせたりし、さらには、意図的に人を殺して、あたかも「別の誰か」が殺したかのように偽装したりするだろうと警告した。
同氏は、今後ロシア軍は自らの犯罪の痕跡を隠そうとしていくだろうとし、「彼らは、撤退時に、ブチャでは(痕跡を)隠さなかった。しかし、別の場所では隠蔽するかもしれない」と強調した。
なお、現在、ロシア侵略軍がウクライナ東部マリウポリを包囲し続けており、これにより同市の人道状況が著しく悪化している。ウクライナ側が激しく抵抗する中で、ロシア軍は民間施設を爆撃し、民間人に多くの被害を出しており、また民間人避難のための人道回廊の開設を妨害している。マリウポリ市議会は、3月14日時点で同市の民間人死者数は2357人に上ると発表している。
アレストヴィチ宇大統領府長官顧問は3月18日、現時点でロシア軍による東部マリウポリ市の包囲を解除することは不可能だとし、ウクライナ政権は政治・外交的手段の作業をしていると発言した。
最新情報では、マリウポリ市には、まだ約13万人の住民が残っているという。