「ウクライナにはブチャのような町がまだたくさんある」=ゼレンシキー宇大統領、国連安保理で演説
ゼレンシキー大統領が国連安保理安全保障理事会のブチャでの大量殺人に関する会合にて演説を行った。ウクルインフォルムのニューヨーク特派員が伝えた。
ゼレンシキー氏は、「ブチャ市での大量殺人。これは、残念ながら、占領者たちが私たちの大地で41日間にわたり行っている多くの事例の一つに過ぎない。世界がこれから知ることになるその他多くの類似の町、マリウポリ、ハルキウ、ヘルソン、チェルニヒウ、オフティルカ、ボロジャンカ、ウクライナの何十の自治体があるのだ」と発言した。
同氏は、ロシア軍はウクライナのために尽くしてきた人一人一人を探し出して殺しており、その場合には、家族皆を殺害してきたと指摘した。さらに同氏は、人々がロシア軍に殺害される時には、後頭部を撃たれたり、拷問の後に眼球に向けて発砲されたり、路上で急に撃たれたり、井戸に投げ込み苦しみの中殺されたり、アパートや建物で手榴弾によって爆破されたり、戦車により快楽目的で道の真ん中で乗用車ごと潰されたり、手足を切断されたり、喉を切られたり、子供の目の前で強姦されてから殺されたりしてきたと発言した。
ゼレンシキー氏は、「それを国連安全保障理事会常任理事国が行っているのである」と強調した。
さらに同氏は、ロシアのウクライナ領における行動の結果、第二次世界大戦終結以降最も恐ろしい戦争犯罪が行われていると指摘した。
同氏は、「ロシア軍は、火砲、空爆によりウクライナの町々を意図的に灰にしており、意図的に町を封鎖することで、そこに大規模な飢餓を生み出しており、道路では意図的に戦闘行為の起きている地域から脱出しようとする民間車両を銃撃している。空爆から逃れる民間人の隠れているシェルターすら意図的に爆破している。一時的被占領地では、できるだけ多くの民間人が殺されるような条件が意図的に作り出されている」と強調した。
ゼレンシキー氏は、ブチャにてロシア軍が行った蛮行を示す動画を安全保障理事会会合にて公開した(編集注:この映像には極めてショッキングで辛い内容が含まれます)。
また、同氏は、キーウ(キエフ)に国連の平和維持事務所を開設することを提案した。同氏は、「その事務所は、平和維持の予防的方策に特化することができるかもしれない」と述べた。
さらに同氏は、「世界は国連安全保障理事会の拒否権を『死の権利』に変えてしまい、世界の全ての安全保障の機構を弱体化し、悪を無罰としてしまっている国と付き合わなければならなくなっている」と発言した。
同氏は、「もしそれが続けば、一つ一つの国が、安全を保証するためには、国際法や国際機構ではなく、兵器の力にのみ頼らなければならなくなり、国連は閉ざされてしまう」と強調した。
その上で同氏は、今行動しなければならない、国連憲章の力を速やかに取り戻さなければならない、国連のシステムを今すぐ改革しなければならないとし、「今すぐ侵略国を平和に向かわせなければならない」と強調した。
その他同氏は、国連改革の必要性を訴え、そのためにグローバル会議をキーウにて開催することを提案した。同氏は、改革された後の世界安全保障システムでは、例外や特権はなくなり、経済力や個人の野心とは無関係に、全ての国が平等とならねばならないと発言した。
同氏は、ウクライナは平和のために安全保障理事会の決定を必要としているとし、「侵略国であり、戦争の源泉であり、自らの侵略、自らの戦争に関する決定を妨害する」ロシアを排除するよう呼びかけた。同時に、同氏は、「あるいは、現行のフォーマットに代替がなく、出口がないのであれば、自己解体しかない」とも発言した。
写真:大統領府