ロシア・ウクライナ戦争はさらに激しい第二段階に近づいている=NATO事務次官
ジョアネNATO事務次官がルーマニアのニュースサイト「Digi24」へのインタビュー時に発言した。
ジョアネ氏は、「私たちが今日までに見てきたものは全て、氷山の一角に過ぎない可能性があり、私たちは、人間として、この非論理的な戦争の最も血に染まった段階が起こる可能性を恐れている。(中略)私たちは、(ロシア)軍の再編、戦争の第一段階で大量の損耗の補填、兵站の問題の解決について完全なイメージを有している。それら全てが意味するのは、おそらく、私たちは、それでなくともすでに非常に血に染まったこの戦争の、第二段階への突入に近付いているということである」と発言した。
同氏はまた、この戦争の第二段階は第一段階と異なり、より困難で、ウクライナの東部・南部、クリミア・マリウポリ方面のより広い陸地に展開する可能性があると指摘した。同氏は、「そのため、私たちの評価では、私たちは、より困難となり得る第二段階に入ろうとしているのである。そしてこの戦争は、おそらく長引くだろう」と発言した。
さらに同氏は、ロシアからウクライナへの軍事的圧力はおそらく今後数週間にわたり増していくだろうとし、クレムリンは、5月9日のロシアの戦勝記念日の祝賀までに戦争の「勝利」的達成を得るために侵攻してくるだろうと指摘した。
同氏は、ロシア軍のウクライナにおける新たな大規模侵攻は、民間人に多大な犠牲をもたらすおそれがあると述べた。
また同氏は、「残念ながら、ロシア連邦のウクライナにおける戦争犯罪は現実だ。ウクライナと、ウクライナを支援しているNATOの同盟国は、その戦争犯罪の記録、国際刑事裁判所での提訴のために体系的な努力を行っている。なぜなら、それら事例は、無罰にしておいてはいけないからだ」と強調した。
その他、武器供与について、ジョアネ氏は、NATOと個別の加盟国は、引き続きロシアの侵攻に対するこの「正義の戦争」にて、ウクライナを支え続けていくとし、第一段階とは異なる形態となるこの戦争の第二段階のために不可欠な武器・機材を供与していくと指摘した。その支援は、戦術的対戦車ミサイルシステムよりも、長距離の敵を攻撃することのできる最新兵器や、装甲兵器の供与が想定されると発言した。そのため、同氏は、戦争の第二段階は、戦闘の烈度・濃度の点で第一段階とは異なるものとなると指摘した。
さらに同氏は、「私は、ゼレンシキー大統領とウクライナ軍幹部の、ロシアを完全に打ち負かすという目標を定める、その決意と手段を称賛している。それは、ウクライナが自らのチャンスを評価する上での重要な変化であり、もちろん私たちのサポートを受けた上ではあるも、しかし、彼らは特別なヒロイズムを示している。同時に、私たちは、この戦争に対して、最後まで備えておかねばならない。私たちはNATO同盟国として、必要なだけ、ウクライナとともにずっと一緒にいる。私たちは、彼らがまだ戦わざるを得ない、その正義と公平と勇敢の戦いにおいて、彼らを支援する」と発言した。
なお、ロシアは、2月24日から、ウクライナに対して全面的侵略を続けている。
3月29日以降、ロシア軍はキーウ州、チェルニヒウ州、スーミ州、ジトーミル州から撤退するも、ヘルソン州、ザポリッジャ州、ハルキウ州、ドネツィク州、ルハンシク州には引き続き駐留しており、各地で戦闘が続いている。ウクライナ軍参謀本部は、ロシア軍は、ドネツィク・ルハンシク両州領土の完全なコントロール確立に向けて、私たちの国家東部への侵攻に向けた準備を行っていると評価している。
写真:NATO