ヘルソン市長、ロシア占領政権との協力を拒否 「私はヘルソン市民とともに居続ける」
コリハイェウ市長がフェイスブック・アカウントに書き込んだ。
コリハイェウ氏は、「私は、1年半以上前に私を市のトップとして信任してくれたヘルソン市民と一緒にヘルソンに残っている。新たな政権(編集注:ロシア占領政権のこと)との協力は拒否した」と書き込んだ。
さらに同氏は、26日、副市長など市の幹部たちに対して、ロシア政権の「任命」した「ヘルソン市行政府長官」なる人物としてオレクサンドル・コベツ氏が紹介されたと発言した(編集注:ウクライナ国内法上、「ヘルソン市行政府」及び同「長官」という組織・役職は存在しない)。さらに、同州を支配するロシアの軍事指揮官の命令により、ヘルソン市長の権限がオレクサンドル・コベツ氏に「譲渡」されたと通告されたと伝えた。コベツ氏は、ロシアが「任命」したヘルソンの偽「州行政府長官」に仕える人物だという。
コリハイェウ市長は、このコベツ偽「市行政府長官」は今日からヘルソン市の活動プロセスの調整を行っていくと発言したと伝えた。
市の執行委員会職員には、この「新行政府」との協力を検討するよう提案されたという。
その上でコリハイェウ・ヘルソン市長は、本件を受けてウクライナ大統領府に対して、市長である自身やその同僚たちはどのように行動すべきか、詳細な手引きを提示するよう要請したと書き込んだ。さらに、同氏は、今後も可能な範囲でヘルソン市の活動に関係する、これまでに開始した作業の管理を行っていくと発言した。同時に、多くの問題については現時点では答えることができないとも指摘した。
コリハイェウ氏は、投稿の終わりに「ヘルソンはウクライナである」と書き込んでいる。
なお、2月24日のロシア軍のウクライナに対する全面的侵略により、現在ウクライナ南部では、ヘルソン州とザポリッジャ州の一部がロシアにより占領されている。占領開始当初は、両州各地で住民による反占領集会が盛んだったが、ロシア軍人よる地方自治体関係者、記者、教師、活動家、聖職者などへの拉致、略奪、拷問などの被害が相次ぎ、次第に反占領集会の頻度は下がっている。
最近では、4月23日、ヘルソンのウクライナ正教会の聖職者であるセルヒー・チュディノヴィチ氏は、ロシア軍により拘束されていた際に受けていた拷問について報告している。
24日、英国防省は防衛インテリジェンスの報告として、ロシア軍にとって、クリミアとの陸上回廊の確立とウクライナ南部の支配という目標達成における重要な町となっているとの見方を示した。
ウクライナ最高会議(国会)人権問題全権を務めるデニーソヴァ氏は、ロシア占領政権は、4月27日にいわゆる「ヘルソン人民共和国(KhPR)」の創設を宣言するために、偽「住民投票」を急いで実施したがっているようだと指摘していた。