ゼレンシキー宇大統領、被占領下ウクライナ南部で反露抗議を行う住民を応援
ゼレンシキー大統領が27日夜の動画メッセージで発言した。
ゼレンシキー氏は、「私は今日、私たちの国の南部のウクライナ人を特別に応援したい。ヘルソンや、同州の全ての自治体、一時的被占領下ザポリッジャ州の各地の人々をだ。諦めていない一人一人の人に感謝している。一人一人の抗議をしている人、占領者を無視し、共謀者となった不人気な者たちに対して、そのような者たちには未来がないことを示している人たちに感謝している。私たちの抵抗が強くなればなるほど、占領者が拒絶を目にする機会が増えれば増えるほど、当たり前の生活が私たちの大地に戻ってくる日は早くなる」と発言した。
また同日、国家安全保障国防会議(NSDC)傘下偽情報対策センターは、テレグラム・チャンネルにて、ロシアのプロパガンダ拡散メディアが、占領下ヘルソン州の住民が「ロシア支配への移行を受け入れた」というプロパガンダを拡散していると発表した。
センターは、ロシアが、ヘルソン州一時占領地の住民の抵抗を抑圧するために、攻撃的な情報・心理作戦を展開していると警告した。とりわけ、センターは、ロシアの対ウクライナ戦争に関するプロパガンダを拡散している複数のテレグラム・チャンネルが、「反ロシア集会に参加する人々がどんどん減っている」「ウクライナ人はその地がロシアの支配に移行することを受け入れ、新たな現実に適応している」というプロパガンダを拡散し始めていると指摘した。
その上でセンターは、クレムリン・プロパガンダの「結論」は印象操作的なものであるとし、実際には被占領地の住民たちは、そのような親ウクライナ集会参加を根拠に、ロシア侵略軍の攻撃的な脅迫を受ており、親ウクライナ集会が発砲されたり、参加者の拉致されたりしていることを喚起した。
またセンターは、外からの情報が遮断されている状況下では、そのようなロシアの情報・心理作戦は特に危険であると指摘している。
なお、27日、ロシアによる占領の続くヘルソン市にて、住民たちが偽「住民投票」とロシア占領に反対する親ウクライナ集会を開催した。ロシア軍は、これを解散させようとしたところ、集会参加者の中に負傷者や被拘束者が出ている。
2月24日のロシア軍のウクライナに対する全面的侵略により、現在ウクライナ南部では、ヘルソン州とザポリッジャ州の一部がロシアにより占領されている。占領開始当初は、両州各地で住民による反占領集会が盛んだったが、ロシア軍人よる地方自治体関係者、記者、教師、活動家、聖職者などへの拉致、略奪、拷問などの被害が相次ぎ、次第に反占領集会の頻度は下がっていた。
最近では、4月23日、ヘルソンのウクライナ正教会の聖職者であるセルヒー・チュディノヴィチ氏は、ロシア軍により拘束されていた際に受けていた拷問について報告している。
24日、英国防省は防衛インテリジェンスの報告として、ロシア軍にとって、クリミアとの陸上回廊の確立とウクライナ南部の支配という目標達成における重要な町となっているとの見方を示した。
ウクライナ最高会議(国会)人権問題全権を務めるデニーソヴァ氏は、ロシア占領政権は、4月27日にいわゆる「ヘルソン人民共和国(KhPR)」の創設を宣言するために、偽「住民投票」を急いで実施したがっているようだと指摘していた。他方、27日、現時点でヘルソン州での偽「住民投票」実施は確認されていない。