ゼレンシキー宇大統領、露外相の反ユダヤ主義発言につき「露の首脳陣は第二次大戦の教訓を全て忘れしまった」
ゼレンシキー大統領が2日夜の動画メッセージにて発言した。
ゼレンシキー氏は、「ロシア外相が公然と、臆面もなく、あたかも最大の反ユダヤ主義者はユダヤ人自身の中にいるかのような発言を行った。さらには、あたかもヒトラーにユダヤ人の血が入っているとも述べた。一体どうなれば、ナチズムに対する勝利の記念日を目前にして、そのような発言ができるのだろうか。その発言は、ロシアの外交官のトップがユダヤ人に対してナチスの犯罪の罪を転嫁していることを意味するのだ。絶句する」と発言した。
同氏はまた、イスラエルではラヴロフ外相の発言により大きなスキャンダルが起きているが、ロシア政権は沈黙していると指摘し、それはつまり、政権は外相の発言に同意していることを意味するとコメントした(編集注:なお、3日にはロシア外務省が本件につきコメントを発出している。下記参照)。
同時に同氏は、ロシア軍がキーウ市内のホロコースト犠牲者追悼メモリアル「バービン・ヤール」、ハルキウ近郊のドロビツィキー・ヤールのメノラーを攻撃し、ホロコーストを生き延びた人々を砲撃で殺したことを喚起し、その後のこのような露外相の発言は、ロシア政権首脳陣が第二次世界大戦の教訓を全て忘れてしまったことを意味すると指摘した。
同氏は、「それとも、もしかしたら、そもそもその教訓を一度も学んではいなかったのかもしれない。そのため、ある疑問が生じる。駐モスクワ・イスラエル大使は、彼らの新たな立場を知った上で、(モスクワに)残るのだろうか。ロシアとの関係はいつもと同じままなのだろうか。なぜなら、これら全ては偶然ではないからだ。それは『ヒトラー主義をよく知る者』である露外相の偶然ではない言葉である」と指摘した。
同氏はさらに、ロシア侵略軍がウクライナ領内にいわゆる「フィルターキャンプ」を作っており、そこにウクライナ人を連れ込んで、殺し、拷問し、強姦していることもまた、偶然ではないし、彼らがウクライナの民間人を人質としたり、無料の労働力として連れ去っていることも偶然ではない、生きとし生けるものを殲滅する全面的戦争を展開していることも偶然ではないと強調した。
なお、ラピド・イスラエル外相がラヴロフ露外相の発言を批判したことにつき、3日、ロシア外務省は、イスラエル政権はウクライナのネオナチズム政権を支持しているなどとして反論声明を発出している。
その他、プライス米国務報道官は2日、ラヴロフ露外相の発言はレイシズムの最低の形、プロパガンダの最低の形、狡猾な嘘の最低の形の現れであるとし、ラピド・イスラエル外相の述べた「許し得るものではない」との発言を支持すると表明した。
加えてドラギ・イタリア外相は、ラヴロフ氏の発言を「最も激しい反ユダヤ主義」だと形容し、さらにはラヴロフ露外相の発言を報じたイタリアのテレビ局「Rete4」につき、イタリアには表現の自由があるが、インタビューに招待する相手についてはよく考えるべきであるし、その人物の発言に反応しないことがどの程度受け入れられるのかも考えるべきだとして、同番組を批判した。DWが報じた。
これに先立ち、ラヴロフ露外相は、イタリアのテレビ局「メディアセット」へのインタビュー時、ヒトラーはユダヤ人の血を有していたのであり、最も熱心な反ユダヤ主義者は、ユダヤ人だと発言。これを受けて、ウクライナ、イスラエル、ドイツの政治家が批判のコメントを発出していた。
写真:大統領府