被占領下ヘルソンの市長、職務遂行や同市の状況を説明
ウクライナの公共放送がコリハイェウ氏の発言を伝えた。
コリハイェウ氏は、「遠隔で、市議会に残った3人の担当の副市長と仕事をしている。私たちは団結し、公共企業の一つとともに市の運営をしている。(市役所の)局や部署の職員も一部残っており、一部は休暇に出た」と発言した。
さらに同氏は、市議会幹部は公共企業の幹部とやり取りをしており、課題を出していると伝え、企業は再編をした上で仕事を続けている、なぜなら公共企業職員の一部は避難しているし、医者の約20%、教師の約30%も市を離れたからだと伝えた。
そして同氏は、「残っている者には給与を払い続けなければならない。そうしないと、人々は別の方向(編集注:ロシア占領政権)を見てしまう。なぜなら、彼らは何かしら生活の糧を必要としているのだから。私たちはそれについても大統領府と話している」と発言した。
加えて、同氏は、一時的被占領地において公共企業職員や公務員の仕事のアルゴリズムが作成されているところであり、敵対協力者に絡み取られないようにするために、それを待たなければならないと発言し、今のところは占領者と距離を保っていると指摘した。
また同氏は、占領者は公共企業と協力し始めたと言っているが、公共企業はそれを否定しているとしつつ、「しかし、それは時間の問題だ。私たちが町を維持し、物理的技術的な残り物を維持している間のことだ(編集注:市議会が予算を維持し、支払いを続ける限り、公共企業も市議会と仕事を続けるだろうの意)」と述べた。
同氏は、ヘルソンは90年代に戻ったと述べ、人々には仕事がなく、収入を探していると述べた。「誰もが『今後どうなるのか?』という一つの疑問を抱いている。なぜなら、心理的に苦しいからだ。人々は憔悴しており、(編集注:状況の変化を)期待しながら生きている」と述べた。同時に、ヘルソン市民には、人道回廊が用意されていないので避難は困難であり、自力で避難しようとするとロシア側に検問所で5日間で待たされ、しかも多くの人は通行が認められないと伝えた。
なお、2月24日のロシア軍のウクライナに対する全面的侵略により、現在ウクライナ南部では、ヘルソン州とザポリッジャ州の一部がロシアにより占領されている。占領開始当初は、両州各地で住民による反占領集会が盛んだったが、ロシア軍人よる地方自治体関係者、記者、教師、活動家、聖職者などへの拉致、略奪、拷問などの被害が相次ぎ、次第に反占領集会の頻度は下がっていた。
4月24日、英国防省は防衛インテリジェンスの報告として、ロシア軍にとって、クリミアとの陸上回廊の確立とウクライナ南部の支配という目標達成における重要な町となっているとの見方を示した。
4月27日、ヘルソン市では、住民たちが偽「住民投票」とロシア占領に反対する親ウクライナ集会を開催していた。
5月6日、タシェヴァ・クリミア自治共和国ウクライナ大統領常駐代表は、ロシア占領者は、ウクライナ南部の新たに占領した領土をクリミアに併合させてあらたな行政区を作る可能性を含め、占領地統治に関する複数の案を検討していると指摘していた。