「世界はまだロシアに侵略行為の代償を払わせるだけの制裁を科していない」=ゼレンシキー宇大統領、ダボス会議で演説
ゼレンシキー大統領が 世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議) でのオンライン演説の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ゼレンシキー氏は、「ロシアやその他の隣国に対する残酷な戦争を始めたがっている潜在的な侵略国に、それが瞬時に何をもたらすのかを明確に知っておかせることが目的だが、私は、そのような対露制裁は、まだ科されていないと思っている。しかし、そのような制裁が科されなければいけない。ロシアの石油、全ての銀行の完全な遮断、ロシアのIT分野の完全な拒絶、侵略者との完全な貿易停止だ。何十年と平和を維持のために圧倒的に機能する比類なき制裁圧力でなければならない」と発言した。
同氏はまた、世界のブランドが戦争犯罪者と関連づくことのないよう、それらブランドが犯罪者の利益のために利用されることのないよう、ロシア市場から全てのビジネスが完全撤退するという先例を作らなければならないと強調した。加えて同氏は、ロシア市場から撤退する全ての企業に対して、ウクライナで活動を継続するよう提案していると発言した。同氏は、「あなた方は4000万人の消費者のいる私たちの市場だけでなく、欧州の共通の市場へのアクセスも得る」と述べ、その際、そのような企業は自由の防衛を本当に支える企業だということで評判が上がるだろうと指摘した。
またゼレンシキー氏は、国際社会が予防的制裁を発動していたら、現在の全面的ロシア・ウクライナ戦争は防げただろうと述べた。そして、「アプローチを変えねばならない。受け身になるのではなく、行動しないといけない。予防的に行動をすべきだ。新しい現実に適応するだけではなく、新たな手段、新たな先例を生み出さなければいけない」と強調した。
同氏は、「私たちは『世界第2位の』と呼ばれていたロシア軍を止めた。激しい戦闘と何千もの命を代償に、私たちは、徐々に占領者を私たちの大地から追い出している。しかし、昨年、私たちの話を聞いて、ロシア連邦に対して、正義の、予防の、侵略者を足元から打ち砕き得る制裁を発動していたら、私たちはこれをしなくても良かったのではないだろうか? 私は、しなくても良かったと確信している。世界の行為が対応的ではなく、予防的であれば、戦争回避は保証されていたであろう」と発言した。
さらに同氏は、過去3か月でウクライナは民主的世界を団結させるという歴史的先例を作り出したとしつつ、同時に「しかし、それは今ようやく起きていることだ。だが、ロシアは、ウクライナに対して2014年に戦争を仕掛けてきたのだ。私たちは、このようなサポートに感謝している。しかし、それがすぐに生じていたなら、ロシアは全面的な戦争を始めただろうか? ウクライナと世界は、この損失を出していたであろうか? 私は、この質問への回答も、否、だと確信している」と強調した。