解放されたアゾフ連隊隊員、拘束時の様子を語る
テレグラム・チャンネル「最新のウクライナ軍」がウシチェンコ隊員のインタビュー動画を掲載した。
ウシチェンコ氏は、キーウから包囲されるマリウポリへ乗り込んだ志願兵の一人だったという。同氏は、状況を認識していたとし、「一つの終わりに向かっていること、しかし仲間には支援が必要だということ」を理解していたと述べた。
そして、同氏は、マリウポリに到着して最初に目にしたものは、ベンチの上の男性の死体、その近くを手押し車を押しながら歩く女性、さらにその近くではサッカーをする子供たちだったと述べた。その後、同氏は、水を探して町中を彷徨う困り果てた子供たちに会ったという。
戦闘に加わると、ウシチェンコ氏は、最初の1時間半で負傷したと述べた。短期間で治療を終え、隊列に戻るも、また負傷したという。
同氏は、降伏して拘束されることは望んでいなかったが、降伏命令は履行せざるを得なかったと説明した。
拘束された際、敵側の医療従事者は、ウシチェンコ氏たちに、目を見ないでくれと頼んだという。ウシチェンコ氏が理由を尋ねても、女性は「目を見ないで。どこか下を見ていて」と述べたという。同氏は、彼らは「アゾフ」を恐れているようだったと述べ、「あそこでは多くの人が超自然の力を信じている」と指摘した。
また、同氏は、ロシアの医療従事者たちは、自分たちを治療することはなく、状態を維持するだけだったと伝えた。また、拘束されている負傷者に対して痛み止めは与えられなかったとし、アゾフスタリから連れて行かれた際にウシチェンコ氏が持っていた鎮痛剤(イブプロフィン)も取り上げられてしまったと述べた。
その他、ウシチェンコ氏は、自分が被拘束者交換対象になるとは最後まで信じておらず、誰も交換について事前に伝えることはなかったと発言した。「突然起こされ、出発するよう言われたのだ」とし、同氏は、その時ですら、どこかに連れて行かれ、何か映像を撮られて、元の場所に戻されるのだろうと思っていたと述べた。
同氏は、アゾフスタリでの出来事について思い出しつつ、そこでは金銭も貴金属も何の価値も持たず、「武器と食べ物だけ」が意味を持っていたと伝えた。
さらに同氏は、ウクライナの勝利を確信していると述べ、「私たちは、100%勝利する。ロシア連邦保安庁(FSB)職員すら、私たちがとんでもない戦いをすると話していた」と伝えた。
これに先立ち、6月29日、ウクライナ国防省情報総局は、ロシアとの間で被拘束者交換が行われ、144人のウクライナ軍人を解放したと発表していた。144人の内訳は、マリウポリの製鉄工場『アゾフスタリ』防衛者95人、その内、43名がアゾフ連隊の軍人である」だと伝えられていた。