赤十字、ウクライナ軍人が殺害されたオレニウカ収容所へ1か月間アクセスが得られていないと報告
マルディーニ事務局長がキーウでの記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
マルディーニ氏は、「オレニウカ矯正収容所への許しがない攻撃から1か月が経過した。活発な秘密協議が行われてきたが、私たちには、攻撃の犠牲となった軍人たちへのアクセスは与えられておらず、私たちはまた、その訪問実現に不可欠な安全の保証も得られていない。私たちは、これを変えるべく、大きな努力を行っている」と発言した。
同氏はまた、人々の間にICRCの役割に対する疑問があることは承知しているとし、「私たちが組織としてできることと、できないこと」について説明する必要があると思っていると発言した。特に、同氏は、現在のものを含め、どんな武力紛争においても、ICRCは、捕虜の待遇に関するジュネーヴ第3条約の規範履行を誰かに強制することはできないと指摘した。
その上で同氏は、「それへの責任があるのは関係者であり、特に国家間武力紛争下においてそうである。好む好まざるを問わず、戦闘参加国には、同意した規範の履行義務が課される。人道組織であるICRCは、政府や武装勢力に対して、行動を強制することはできない。私たちは武器を持っていない。私たちは政治家ではない」と発言した。
これに先立ち、ウクライナ軍参謀本部は、7月29日の被占領下ドネツィク州オレニウカにあるウクライナ人捕虜の収容されていた収容所に対する砲撃はロシア軍による意図的なものだと発表していた。ウクライナの検事総局は同日、死者約40名、負傷者130名の被害を出した同日のドネツィク州オレニウカへのロシア連邦の砲撃についての刑事捜査を開始した。
なお、ドネツィク州オレニウカには、占領政権による濾過施設(編集注:厳重な人物調査を行う場所)が2つあることが知られていた。これら施設には、元治安機関職員、親ウクライナ活動家、調査にて「望ましくない」人物と認定された市民、マリウポリ市民の避難支援を行っていたボランティアなどが拘束されていた他、マリウポリ防衛戦に参加し、その後投降したウクライナ軍人も収容されていることが知られていた。
ウクライナ軍参謀本部は5月17日、ウクライナ最高軍司令部が東部マリウポリ製鉄工場「アゾフスタリ」に駐留する部隊の指揮官たちに対して、人員の命を守るよう命令を出したと発表していた。これを受け、264名の軍人をロシアに占領されている自治体に避難する作戦が実行された。その際、参謀本部は、内211名の軍人は人道回廊を通じて被占領下のオレニウカへと避難させられたとし、彼らの今後のウクライナ政府管理地域への帰還は、(被拘束者)交換手続きを通じて行われると説明していた。