ゼレンシキー宇大統領、国連総会で平和に至る5つの条件を説明
ゼレンシキー大統領の録画演説が第77回国連総会一般討論演説で公開された。
ゼレンシキー氏は、ウクライナの「平和の公式」は(1)侵略の処罰(2)人命保護(3)安全と領土一体性の回復(4)安全の保証(5)自衛の決意だと指摘した。
同時に同氏は、ウクライナの平和の公式には「中立」はないと強調し、「人間の価値と平和が脅威に晒されている際に、ある者が中立について話す場合、その者の念頭にあるのは何か別の物なのだ。彼らが口にしているのは、『無関心』である」とし、中立は平和に結びつかないどころか、戦争のための条件を作り出すと説明した。同氏は、その点で「ウクライナの公式」は普遍的なものだと指摘した。
またゼレンシキー氏は、あらゆる国があらゆるレベルで、法的にも政治的にも、ロシアをテロ支援国家に認定すべきだとし、法的メカニズムがなければ、政治的決定を国会で採択することも可能であり、それが世界の安全保障の回復のための基本となるとの見方を示した。
同氏は、「平和の公式」の3項目目の「安全と領土一体性の回復」につき、ある国が他国の領土を強奪しようとすれば、世界の全ての国がダメージを受けることになるとし、侵略を受けた国の領土一体性の回復なくして世界の安全保障が回復されることはないと発言した。
4項目目の「安全の保証」については、ゼレンシキー氏は、ウクライナはパートナー国に対して、ウクライナ、欧州、世界の安全保障機構の改善のための提案を示したとし、「それは私たちに対してさらなる侵略を一切不可能とするものだ」と指摘した。同氏は、その保証は、他国間と二国間の法的義務からなるものだと発言した。
さらに同氏は、5項目目は、「自衛の決意」であると述べ、その決意がなければ、他の4項目は機能しないと強調した。
同氏は、「それは私たちの自衛の決意であり、パートナーたちが私たちと自分自身を支援する決意である。それは、世界が、武力侵略と戦う者の周りに団結し、皆を脅威に陥れている者の責任を追及しようという決意である」と発言した。
その上でゼレンシキー氏は、ウクライナも欧州も世界も平和を欲しているが、「一人だけが戦争を望んでいる」ことを喚起した。同氏は、戦争賠償と対露制裁強化の必要性を訴えた他、ロシアを罰するための特別法廷が設置されねばならないと主張した。
その他同氏は、ロシアは協議を望んでいるのではなく、占領するウクライナ領で越冬し、その間に新たな侵攻のための戦力を蓄えたがっている、あるいは、防衛設備を築いたり、国内で動員をしたりしたがっていると指摘した。そして、「私たちは、戦争の先送りには同意できない。なぜなら、その場合、私たちにとって戦争は今よりさらに激しいものなるからだ」と強調した。
同氏は、この戦争は命を巡った戦争であるとし、だからこそウクライナは武器、財政支援が必要なのだと訴えた。
また同氏は、ロシアが最近南ウクライナ原子力発電所の敷地を砲撃したことや、ロシアがエネルギー価格で世界を脅迫していることへの対策の必要性として、エネルギー価格の制限設定が不可欠だと指摘した。
写真:大統領府