ロシア軍のキーウ制圧が成功する可能性は極めて小さい=戦争研究所
ISWが報告書を公式ウェブサイトに掲載した。
ISW報告書では、「ロシア軍がベラルーシから再び攻撃を仕掛けたとしても、同軍がキーウを奪える可能性は依然極めて低いままである。2023年の冬、ロシア軍のウクライナ北部からの攻撃が2022年2月の時より成功するという可能性は極めて低い。ロシアの通常戦力は極度に劣化しており、彼らには2022年2月にキーウ攻略を全面的に試みた(そして失敗した)時に有していたような戦力はない。ロシア軍は、ウクライナ全土での自らの戦果を維持できておらず、キーウを去ってから7万平方キロメートル以上の占領地を失っている」と指摘されている。
ISWは、ロシア軍は現在バフムートに主要な努力を集中させているが、そこでも1日に100〜200メートル以上は前進できていないと指摘した。
さらに、「ロシアはウクライナで制空権はおろか、航空優勢も確立しておらず、また精密誘導弾の残弾も大きく消耗している。これに対して、ウクライナ軍は、ウクライナ北部で著しい防衛を準備しており、現在は2022年2月よりもより良い防衛の準備が整っている」と説明されている。
また、ベラルーシ・ウクライナ国境付近の地形については、機動戦を行うのには向いていないとし、ベラルーシからキーウへの侵攻はチョルノービリ立入制限区域の防衛地点の通過があり得るが、そこはウクライナ軍側がすでに防衛の経験を有していると指摘されている。
そして、ISWは、ロシアが2023年冬のウクライナ、もしかしたらキーウ、への新たな侵攻実施のための条件を作っているかもしれないが、その場合も、そのような攻撃が成功する可能性は極めて小さく、またロシアのベラルーシ側からの攻撃は現時点で差し迫ったものではないとの見方を示した。
同時にISWは、「ウラジーミル・プーチン露大統領のウクライナにおける目的は変わっていない。プーチンは、ウクライナを制服し、大きな譲歩を得るという目的を追及するために、2つの軍事努力を同時に行っている(編集注:ドネツィク州の進軍行為とウクライナの民間・重要インフラへの大規模攻撃)」と指摘した。
これに先立ち、ウクライナ軍のザルジュニー総司令官は、ロシア軍には約120〜150万人の予備兵力があり、現在20万人の新たな軍人を準備しているとし、同軍がいずれ再びキーウへと侵攻を試みる可能性は大きいと発言していた。