ゼレンシキー大統領、NATO加盟路線につき「私たちは自分の選んだ道を進まねばならない」
ゼレンシキー大統領がキーウ(キエフ)を訪問したショルツ独首相との共同記者会見時に記者からの質問に答える形で発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ゼレンシキー氏は、「私は、私たちは率直であるべきだと思っているが、しかし、それでもその決定は私たちにかかっているものだ。問題は、ウクライナがその道をどれだけ進まねばならないのか、誰と進んでいくのか、誰が友で、パートナーとなるのか、誰がその道において私たちの国を支えてくれるのかという点にある。もしかしたら、オープンドア(政策)問題は、私たちにとっては、実際には夢のようなストーリーなのかもしれないし、私たちの進む方向についてのシグナルなのかもしれない。いつそこに辿り着くのか(編集注:「いつNATO加盟国になるのか」の意と思われる)は、誰も知らない。ウクライナだけでなく、複数のNATO加盟国も知らない。そのため、私は、私たちは自分が選んだ道を進んでいかなければならないと思っている。この道で、最も重要なことは、私たちの軍が強力であることだ。この道がどこに導くのか、いつ到達できるのかは、これから見てみようではないか」と発言した。
同日のプリスタイコ駐英ウクライナ大使の発言については、ゼレンシキー大統領は、細部に注意を払う必要があると指摘した。
加えてゼレンシキー氏は、「私は、現在、多くの記者、多くの首脳が少しだけ、ウクライナに対して、言うなれば、リスクを取る必要はない、常にNATOの将来加盟の問題を提起しなくても良いのではないか、ということをほのめかしている。なぜなら、そのリスクはロシア連邦の反応と結びついているからだ。誰ももうそのことは隠していないと思う」と発言した。
大統領は、ウクライナのEU・NATO加盟の願望は誰もが知っているし、憲法にも書かれていると喚起した。
これに先立ち、14日、ヴァディム・プリスタイコ駐英ウクライナ大使が英BBCラジオ5ライブ出演時に、ウクライナが、どうしようもない状況になった場合には、NATO加盟方針を断念する可能性はある、と発言していた。
しかし、同日、プリスタイコ氏は、「私たちはいま、さまざまなインタビューで、NATO(編集注:加盟方針)は憲法にすら記載されており、現在何の変更もないこと、しかし、現在私たちはNATOのメンバーではないので、NATOには期待できないことを説明している」と自らの発言を訂正した。
さらに同氏は、現在戦争を回避するために、ウクライナは妥協の準備はあるとしつつ、「しかし、妥協はNATO関連分野にあるのではなく、ミンスク諸合意などにあるのだ。NATOに関しては、現在、私たちは方針を維持しているが、しかし今この瞬間を生き延びるために、他の案も模索しなければならなくなっている」と発言した。
その他、ウクライナ外務省のニコレンコ報道官は、本件につき、「言うまでもなく、平和とウクライナ国民の命の防衛のために、ウクライナは、諸国や国際機関とあらゆる対話フォーマットに向かう準備がある。同時に、プリスタイコ大使は、インタビューの際に、NATO加盟展望はウクライナ憲法に記載されているが、ウクライナは現在NATO加盟国でもその他の安全保障連合のメンバーでもないという、傾聴に値する発言をしている。私たちの国にとって重要なことは、安全保障問題なのだ」と指摘した。
同氏は、最善の安全保障はNATOにウクライナが今すぐ受け入れられることだとしつつ、「しかし、ウクライナへの脅威は目下ここにあることである。そのため、保証問題への回答の模索は、根源的で緊急の課題である。ただし、いかなる解決策もウクライナ憲法に反して採択されてはならない」と強調した。
また、ウクライナのステファニシナ欧州・欧州大西洋統合担当副首相は、本件につき、「ウクライナ・ネイションは、自らを民主的で欧州的なネイションとして強化し、欧州統合とEU・NATO加盟国としての繁栄を促進するという自らの選択を行った。それは私たちのアイデンティティの一部であり、私たちの憲法の一部である。本件に関して、『柔軟性』というのは、私たち側からの案とはならない」と発言していた。
その他、ニキフォロウ大統領報道官は、「北大西洋・欧州路線(編集注:NATO・EU加盟路線)は、私たちの国の無条件の優先課題であり続けている。その方針は、憲法に記載されているだけでなく、それに関しては、政権と社会の完全な同意がある」と発言していた。