
「トランプにとってウクライナは、できるだけ早く解決してしまいたい問題」=バブスト独専門家
バブスト元NATO戦略予見チーム長がウクルインフォルムへのインタビュー時に発言した(リンク先はウクライナ語)。
バブスト氏は、「トランプ氏の動機や理由がどういうものであろうと、彼は米国とロシアの間の広範な再編を望んでいる。彼にとってウクライナは、何よりも問題であり、彼はそれをできるだけ早く解決したがっている。(中略)彼はロシアの侵略的影響下にウクライナを明け渡す準備がある。弱くて政治的に不安定で分裂し非軍事化したウクライナは、トランプにもプーチンにも好都合なのだ」と発言した。
また同氏は、トランプ氏のいわゆる和平ディールは、平和に関するものではなく、実質的なウクライナの降伏に関するものだと指摘した。そして同氏は、「よって、彼は自らの『ディール』をウクライナ人と欧州人に押し付けようとしているのだ。(中略)しかし、トランプ氏はそれに成功しない。私はそのことを確信している」と強調した。
そして同氏は、欧州に対して、「トランプが脅迫や激しい強制によって、ウクライナと欧州に押し付けようとするのが、たとえどのような合意であろうと、それが停戦だろうと、たとえ降伏であろうと関係なく、プーチン体制が政権に残り続ける限りは、ロシアは体系的な安全保障上の脅威をもたらし続ける」ということを明確に理解するよう呼びかけた。そして同氏は、それは2014年のロシアのウクライナへの侵攻当初から現在まで同じだと指摘した。
加えて同氏は、「私たちは安全への絶大な脅威と隣り合わせで共存することはできず、それが私たちに影響を及ぼすことはないとの希望を抱くこともできない」と発言した。その際同氏は、その恐ろしい真実を欧州の全ての首脳によって受け入れられているわけではないことを残念がった。とりわけ、同氏は自身の出身国、ドイツでは、ウクライナを支援すると約束しながら、同時にロシアのテロ政権への宥和のために活発に動いている人がいまだに多すぎると指摘した。
バブスト氏は、22年間にわたって、NATO国際事務局のパブリック・ディプロマシー部門で様々な役職を歴任してきた人物。NATO事務総長副顧問やNATO戦略予見チーム長を務めた。ロシア・東欧研究の専門家であり、国際安全保障分野で書籍を出版したり、講演したりしている。