「ウクライナからの穀物」サミット開催 アフリカ諸国支援資金1億5000万ドル集まる
ゼレンシキー宇大統領が「ウクライナ発穀物」記者会見時に発表した。
ゼレンシキー氏は、「ウクライナからの穀物」は、グローバルな安定性への最大の貢献の1つだ。現時点で20以上の国とEUがこのイニシアティブに資金面で参加しており、さらに10以上の国が参加の準備をしている。今日の第1回の立ち上げ首脳会談の時点で、私たちはすでに約1億5000万ドルを集めた」と伝え、同時に他の国々や商業界に対しても、同イニシアティブに参加するよう呼びかけた。
またゼレンシキー氏は、このイニシアティブの本質は、ウクライナの港から穀物を積んだ船60隻をエチオピア、スーダン、南スーダン、ソマリア、コンゴ、ケニア、イエメンといった最も食糧危機の見られている国々へと向かわせることにあると指摘した。同氏は、この60隻の船は1年間で100万人の人々の食糧安全保障の保証を与えることになると発言した。
さらに同氏は、現在のアフリカ諸国の食糧危機は、ロシアによるウクライナの海洋港からの穀物輸出の意図的妨害によって生じたものだと強調し、ロシアのそのような行動はアフリカ諸国において飢餓だけでなく、社会的混乱も引き起こしかねないと指摘した。
同時に同氏は、「食糧安全保障がウクライナの『平和の公式』、世界中の平和の公式の1つの要素であることを喚起する。私は、ウクライナとパートナーたちの共通の対応が、加熱する食糧危機を取り除き、数百万の人々を飢餓から数い、すなわち何十の国々を社会的混乱から救うことになるのに十分となることを信じている」と強調した。
ポーランドのモラヴィエツキ首相は、同首脳会談後の共同記者会見時に、ポーランドは「ウクライナからの穀物」イニシアティブに2000万ユーロ拠出すると発表した。
モラヴィエツキ氏は、「私たちは、この努力にサポートを提供し続けるべきだ。なぜなら、ウクライナは苦しんでいるが、同時にゼレンシキー大統領は、アフリカ、中東、アジアの国々を支援する非常に気前の良いイニシアティブを準備しているのだ。私たちは、そのイニシアティブを支持したいと思っており、2000万ユーロをゼレンシキー大統領のイニシアティブに拠出する」と発言した。
オーストリアのシャレンベルク外相は、オーストリアは同イニシアティブを支持し、エチオピアとスーダンへの食料供給のために380ユーロを拠出すると発表した。
同氏は、「飢餓を武器として利用することはこの世界であってはならないし、受け入れてもならない」と発言した。
ノヴァク・ハンガリー大統領は、同国も同イニシアティブへ参加すると表明した。ノヴァク氏は、「半年前、私は大統領に選出されて、すぐにロシアによる主権国家ウクライナへの侵攻を非難した。私たちは、ウクライナの主権、領土一体性、独立を完全に支持している。もちろん、あなた方は私たちをあてにして良いし、正にそのために私は、『ウクライナからの穀物』イニシアティブに参加するために、ゼレンシキー大統領のキーウへの招待を受け入れたのだ」と発言した。
ノヴァク氏は、ハンガリーは、1万トンの穀物の輸送を保障し、そのための資金を拠出することにコミットしたと伝えた。
ゼレンシキー大統領は、26日夜の国民向け動画メッセージにて、同日の「ウクライナからの穀物」首脳会談を総括し、同開催は、あえて1932~1933年のホロドモール犠牲者追悼を行う日に開催したのだと指摘した。
ゼレンシキー氏は、「ウクライナ人はそのジェノサイドを乗り切った。そして今日、私たちは、ロシアの新たなジェノサイド政策を止めるべく、あらゆる可能なこと、不可能なことを行っている。新たな、しかし、20世紀に数百万人の人々を殺したものと似ている政策を止めるためだ。私たちは、侵略を撃退しているだけではない。私たちは一歩ずつ、侵略を止めるシステムを作り、その被害を克服し、長期的安全、ウクライナと欧州全体と世界にとっての安全を保証している」と発言した。
なお、今回の「ウクライナからの穀物」立ち上げ首脳会談に(キーウ訪問あるいはオンライン演説にて)参加したのは、フォンデアライエン欧州委員長、グテーレス国連事務総長、マクロン仏大統領、ノヴァク・ハンガリー大統領、ショルツ独首相、クロアチア大統領、ラトビア大統領、エストニア大統領、フィンランド大統領、スロベニア大統領、ブルガリア大統領、ポーランド首相、リトアニア首相、ルーマニア首相、ベルギー首相、オランダ首相、スウェーデン首相、クロアチア首相、ストルテンベルグNATO事務総長、並びに、英国、チェコ、スペイン、オーストリア、カタール、カナダの代表者、米国国際開発庁(USAID)、国連世界食糧計画(WFP)。