
スクリパリ毒殺未遂事件:検証サイト・ベリングキャット、容疑者1名の本名を特定
26日、民間調査サイトThe Insiderとベリングキャットが調査結果を発表した。
発表には、「The Insiderとベリングキャットは、スクリパリ毒殺未遂事件の容疑者であり、2名のGRU要員のうちの1人である『ルスラン・ボシロフ』という人物の情報を解明した。同人物は、GRUの大佐であり、『ロシアの英雄』である、アナトリー・チェピーガ氏であった」とある。
アムール州イヴァノフ地区陸海空軍後援会のサイトには、チェピーガ氏について「チェピーガ・アナトリー・ウラジーミロヴィチ、1979年5月5日アムール州ニコラエフカ村生まれ、2001年ロコソフスキー・ソ連元帥記念極東軍事司令高等アカデミー卒。チェチェン派遣3回。20以上の表彰あり。2014年12月、チェピーガ大佐は、平和ミッション実行によりロシア連邦英雄の称号を授与された」とある。

同調査は、「平和ミッション」と名付けられたものは、あらゆる情報から判断するに、ウクライナへの侵攻のことであると説明している(この時点でロシアによるシリアでの軍事作戦はまだ開始されていない)。そして、同発表では、チェピーガ氏所属部隊は、2014年末にウクライナの国境付近で確認されているとしつつも、しかしながら、「ロシアの英雄」の称号を得るほどのチェピーガ氏が、具体的にどのような偉業をなしたのかは現時点では不明であるとした。他方で、彼の名前がロコソフスキー(ソ連元帥)像の横に金色の文字で掘られているのは確認できていると説明された。


また、同発表は、チェピーガ氏は第二の名前「ルスラン・ボシロフ」は、モスクワへ引っ越し、GRUアカデミー(GRU内スラングで「音楽院」と呼ばれている学校)を卒業した時に得たものだと指摘した。
そして、The Insiderとベリングキャットが、GRUが外国での作戦のための要員を養成し、外国語学習を集中的に行なっている軍事学校の卒業生の中から、チェピーガ氏を探したところ、その一つに、ロコソフスキー・ソ連元帥記念極東軍事司令高等アカデミー(ДВОКУ)(ブラゴヴェシチェンスク市)があり、チェピーガ氏の年齢を参考に、2001〜2003年の卒業生の写真を調べたところ、チェチェンで撮影された写真の中に、チェピーガ氏と思われる人物が発見されたことが発表されている。

発表では、さらに、同アカデミー内の検索システムを使って調べると、卒業生リストの中から「ロシアの英雄」の称号を得た人物がヒットし、その中の一人に「アナトリー・チェピーガ」の名前があり、年齢からして、「ルスラン・ボシロフ」を名乗る人物の一致しており、オープンソースの情報から判断するに、同人物はチェチェンに派兵されていたとの判断が示された。また、同人物の名前は、他のデータベースの中でも見つかり、2003〜2005年にチェピーガ氏がハバロフスク市に居住していたことが判明、なおかつ同市のGRU第14旅団の基地の住所とも一致したとのこと。これにより、「ボシロフ」氏とチェピーガ氏が同一人物である可能性をさらに高めた、と指摘、そしてこれらを踏まえた上で、2014年「ロシアの旅券」システムにより、この仮定の正しさが証明されたと発表された。


これまでの報道によれば、3月5日、元ロシアGRUのスパイ、スクリパリ親子は、ソールズベリーで意識不明の状態で発見、病院では、不明の物質が検出された。禁止科学物質機構は、英当局の調査結果を認め、この物質がロシア発の「ノヴィチョク」であるとした。
9月5日、英検察は、スクリパリ毒殺未遂事件の容疑者として、2名のロシア国籍者の名前を発表。メイ・イギリス首相は、両容疑者はGRU将校のアレクサンドル・ペトロフとルスラン・ボシロフあると述べていた。