露から解放された海軍軍人が記者会見 拘束時に反撃しなかった理由など説明
12日、軍人たちの記者会見がウクルインフォルム通信において開かれた。
デニス・フリツェンコ指揮官は、「24名全員が、引き続きウクライナ軍に従軍する準備がある。私たちは、ウクライナ軍の軍人であり、そのことを誇りに思っている。もしどこかへ向かう課題遂行命令が出れば、私は今でもそれを遂行する。それは他の者たちも同様であると、私は100%の確信を持っている」と発言した。
記者から、ケルチ海峡での拘束の際、どうして相手側に対して反撃をしなかったのかと尋ねられると、フリツェンコ指揮官は、「私たちは、武器使用を目的としない課題遂行のためにそこに向かったのである。それは平和な航行であった。状況は、どの国が予定したものでもない、緊急のものであった。決定は現場で下さなければならなかった。私が、そのような(編集注:反撃をしない)決定を下したのだ」と返答した。
同時に、フリツェンコ指揮官は、「時が経ち、私は自分のために状況を調べた。神が私を導いたのだろう。私たちは、然るべき行動をとったのだ。もし、その時異なる行動をとっていたら、私たちは今ここにいなかったであろう」と発言した。
フリツェンコ指揮官は、拘束時にロシア側から受けた心理的圧力について、「拘束後の最初の数時間は、心理的な負荷を受けた。彼らはあらゆる手段で圧力をかけた。軍人たちは一人ずつ連れ出され、『あちらではもう拘置が決まった』、『おまえたちは死にに行かされたのだ』などと言われた。心理的な圧迫である。そこには心理カウンセラーや弁護士がいて、私たちに、裁判官には服従すべきだとか、私に罪があると言うべきだ、そうすれば全て解決するなどと言われた」と当時の様子を説明した。
そして、同指揮官は、弁護士団が本件に関与するようになり、ウクライナ側が弁護の戦略を作成してからは状況が安定したとし、「軍人たちは皆、『盾』を得た思いがした」と伝えた。
タグボート「ヤニ・カプ」のオレフ・メリニチューク指揮官は、解放前の様子につき、「私たち捕虜の一人が交換されると聞いたとき、最初誰のことかわからなかった。そして(彼らが拘束時に船舶に乗せていた)犬が戻されたの見せられた時、私は理解したのだ。これなら、次は私たちの番だ、と。犬は25番目の捕虜だったし、犬を返すなら、皆が返されると思った。私は、ウクライナは私たち皆のために闘っている、私たちは帰れると理解したのだ」と強調した。
軍人たちより先にウクライナ側に返された「25番目の捕虜」犬のジェッシーは、飼い主のである海軍軍人セルヒー・チュリビ氏の下に戻されたとのこと。
また、フリツェンコ指揮官は、軍人たちの解放に携わった全ての人に感謝を伝えるとともに、捕虜となっていた彼らのもとに、手紙や絵、お守りを送ってくれた、教育・科学省と子どもたちにもお礼を述べた。フリツェンコ指揮官は、記者会見時に彼らが拘置所で受け取った子どもたちの作品を手にとって見せた。
これまでの報道にあるように、9月7日、ウクライナとロシアの間で、35名対35名のフォーマットで、被拘束者交換が行われた。ウクライナには、ロシアで違法に断罪されていた政治囚11名と、海軍軍人24名が帰還した。
この海軍軍人は、2018年11月25日、被占領下クリミア近くのケルチ海峡沖にて、ロシア治安機関がウクライナ海軍艦船3隻を攻撃・だ捕した際に拘束されていたウクライナ国民。これら3隻の艦船は、オデーサ港からアゾフ海のマリウポリ港へ向かうところだった。