国連総会第3委員会にてクリミア人権決議案採択=クレーバ外相
クレーバ外相がツイッター・アカウントにて伝えた。
クレーバ外相は、「国連総会委員会で内容の強化されたクリミア人権決議案へと賛成した加盟国に感謝している。総会が12月に同案を採択すると、それは占領国ロシアに国際人道法をはじめとする国際義務を遵守させるべく、ロシア連邦への圧力を団結させることになる」と書き込んだ。
外相はまた、グテーレス国連事務総長によるクリミア人権状況報告を高く評価し、同報告にはクリミア半島にてウクライナ人とクリミア・タタール人に対する政治的迫害の事案が詳しく記されていると伝えた。
その上で外相は、欧州安全保障協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)は、占領国の迫害から人々を守るために、クリミアの監視を強化すべきだと主張した。
I appreciate @antonioguterres reports on human rights situation in Crimea with extensive findings on political repression against Ukrainians & Crimean Tatars. @UNHumanRightsUA & @OSCE_SMM should strengthen monitoring in Crimea to protect those suppressed by the occupying power.
— Dmytro Kuleba (@DmytroKuleba) November 18, 2020
なお、ウクライナ外務省は、公式ウェブサイトにて、18日の国連総会第3委員会での同決議案(「ウクライナ領クリミア自治共和国・セヴァストーポリにおける人権状況」決議案)の採択を報告している。
発表には、今回の決議案の特徴が記されている。とりわけ、今回の決議案は、被占領下クリミアにおける多くの人権違反事例を確認している過去2回の国連事務総長による報告をもとに作られているとのこと。
外務省によれば、決議案には、ウクライナ領一時的被占領下クリミアに存在する「機関」を「ロシア連邦占領政権」のものに分類すると書かれている。
加えて、決議案は、ロシア連邦が、クリミアの人口構成を変更することを目的に、ロシア国民をクリミアへ移住させたり、半島の住民の国籍を強制的に変更させたりする国際人道法への違反行為が記載されている。そして、これらがクリミア住民の経済・社会的権利に否定的な影響を及ぼし、彼らがクリミアを立ち去る原因となっており、結果としてジュネーブ条約で保護されている占領下の人々が追放されることになっていると指摘されている。
また決議案では、被占領地にて徴兵を拒否した人物への刑事追訴をやめるよう呼びかけられている他、強制失踪事例が無罰であることへの非難、確認されている拷問事例におけるロシア連邦保安庁(FSB)の役割が記述されている。
更に、クリミア・タタール人に対する体系的な政治弾圧、政治的動機の根拠の薄い有罪判決、クリミアのウクライナ正教会への迫害、市民記者をはじめとする記者への迫害、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の人権侵害への利用といった事例に注意が向けられている。
同決議案は、ロシア連邦に対して、クリミアにおける著しい人権侵害を速やかに停止し、国連人権監視団とOSCE/SMMを含む国際人権メカニズムのクリミアへの障害ないアクセスを保障するよう要求する内容となっている。
また、ジャパロヴァ外務第一次官がフェイスブック・アカウントにて公開した写真によれば、今回の第3委員会におけるクリミア人権決議案は、賛成63か国、反対22か国、保留85か国となっている。日本は賛成している。
#оон #3_комітет #кримська_резолюція
Опубліковано Emine Dzheppar Середа, 18 листопада 2020 р.
なお、国連総会のクリミア人権決議は、2016年から毎年内容を更新する形で採択されており、今年採択されると同内容では5本目の国連総会決議となる。また同決議により、ロシア連邦は、ウクライナ領クリミアの占領国と定められている。