ウクライナ国会、クリミア・タタール人等3民族をウクライナの先住民とする法案採択
最高会議議員325名が賛成した(過半数は226)。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
法案説明文には、同法案の目的は、ウクライナの先住民の法的地位を定義し、国際法やウクライナ憲法・国内法で定められている、ウクライナの先住民に属す人々のあらゆる人権と基本的自由の完全な運用を法的に保証することにあると書かれている。
同法本文によれば、ウクライナ先住民の概念は、「独自言語、文化を有し、伝統、社会、文化あるいは代表する機関をもち、自らをウクライナの先住民だと認識しており、人口の中で民族的マイノリティーとなっており、ウクライナ国外に自らの国家を有さないウクライナ領内で形成された先住民族集団」であると定義されている。この定義に従い、同法案は、ウクライナの先住民をクリミア・タタール人、カライム人、クリムチャク人の3民族とすることを定めている。
また同法は、ウクライナの先住民は、国連憲章、世界人権宣言、国連先住民権利宣言、ウクライナ最高会議が義務を負うことに同意した国際合意、ウクライナ憲法・国内法の定める全ての人権・基本的自由を集団でも個人でも完全に有す権利があると定めている。
さらに同法では、以下の行為からの先住民への法的保護の保証を定めている。対象行為となるのは、民族性や個別民族としての一体性の剥奪や文化的価値の剥奪を目的とした行為、あらゆる形態の集団居住地からの追放・強制移住、あらゆる形態の強制同化・強制統合、ウクライナの先住民を対象とした人種・民族・宗教面での嫌悪の鼓舞・拡散。
同法はまた、先住民の文化、教育、言語、情報面の権利、先住民の持続可能な発展の権利を保証する。
加えて同法は、ウクライナの先住民の代表機関の法的ステータスの承認、その資金面の保障、国際代表制の問題の解決を定めている。
これに先立ち、5月18日、ゼレンシキー大統領は、クリミア・タタール民族虐殺犠牲者追悼の日に、最高会議に『先住民法』案を緊急法案として登録していた。