米国、ロシアに対して「ミンスク諸合意は1つではない」「露はウクライナの紛争の単なる当事者ではない」
コートニー・オストリエン駐OSCE米国臨時代表が常設理事会会合時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
オストリエン氏は、「先週、それまでのほとんどの週と同様、私たちは、常設理事会にて、ロシアが、ウクライナで自ら開始し、現在も温存している紛争について、紛争への自らの関与を否定するのを耳にした。ロシアは、和平協議への参加を拒否して、その協議を袋小路に追いやり、ウクライナがドネツィク・ルハンシクのロシアの傀儡を認めるのを待っている。しかし、そのような承認は、ドンバス紛争が『内戦』であるというロシアの誤ったナラティブを推進するだけである」と指摘した。
同氏はさらに、ロシアのその努力は、「ロシアは紛争の当事者というだけでなく、その紛争を開始し、7年以上前に和平合意に署名しておきながら、その紛争を直接的に温存し、コントロールしている」という真実を隠すことを目的としていると指摘した。
また同氏は、ロシア側が2015年2月署名の「ミンスク方策パッケージ」のみを履行しなければいけないかのように主張していることを指摘しつつ、実際には「ミンスク諸合意」と呼ばれるものは、2014年9月5日付「ミンスク議定書」、2014年9月19日付「ミンスク覚書」、および2015年2月12日「(ミンスク両合意履行のための)ミンスク方策パッケージ」という3つの文書から構成されていると説明した。さらに、そのことはロシア外務省のウェブサイトでも認められていると補足した。
同氏は、「私は、あなた方に、ロシア外務省がミンスク諸合意のその具体的な3つの構成を公正に伝えているという事実に注意を向けるよう呼びかける。ロシアがウクライナに『ミンスク』の義務の履行を要求するなら、ロシアもミンスク諸合意における全ての自らの義務を履行せねばならず、履行を望む部分だけ選り好みするのは止めなければならないと、私たちは思っている」と発言した。
加えて同氏は、ロシアがウクライナ東部の自らの傀儡へと兵器を供給し、資金援助し、支配していると指摘しつつ、「それにより、ロシアは、紛争の単なる当事者でなく、その紛争の主要な推進役となっている」と強調した。
なお、ロシアは、自らをウクライナ東部紛争の当事者ではなく「仲介者」であり、同紛争は「ウクライナ政権とドネツィク・ルハンシク政権の内戦」だと主張しており、らには3つあるミンスク諸合意のうち2015年2月の「方策パッケージ」のみが有効であるかのように説明している。これに対して、G7は今年3月の外相声明にて、「ロシアはウクライナ東部における紛争の当事者であり、仲介者ではない」と主張し、紛争当事者であるロシアに全てのミンスク諸合意の履行を求めており、また「クリミアはウクライナである」と繰り返している。