ゼレンシキー大統領、ショルツ独首相と会談 安全保障、4国協議など議論
ゼレンシキー大統領がショルツ独首相との共同記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ゼレンシキー大統領は、「安全保障上の挑戦、和平プロセスの問題が私たちの協議の主要議題だった。正にウクライナにおいて、欧州の安全保障機構の将来が決まろうとしているのであり、その機構の一部が私たちの国家なのだ。私たちは、その非常に重要なプロセスへの重要なアプローチや、その機構へウクライナを守ることのできる具体的な法的保証を組み込むことの必要性について話し合った」と発言した。
ゼレンシキー氏は、ウクライナとドイツは、ウクライナ・ロシア間国境における現在の緊張が欧州と世界にとって「前例のない挑戦」をもたらしているとの見方で一致していると発言した。そして、「そのため、私たちのパートナーの立場、ウクライナ・サポートの具体的な行動、ウクライナの強靭性と防衛能力の強化は、地域全体、EU全体にとっての利益だ」と指摘した。加えて同氏は、ウクライナは理想的な同盟国であり、地域の民主主義の真の前哨基地であるとし、「ウクライナなくして、欧州に効果的な安全保障機構を生み出すことはできない」と強調した。
ゼレンシキー氏はまた、ロシアとの和平協議につき、「短時間で私たちは、パリとベルリンにて、ノルマンディ4国(首脳)政治補佐官級協議を2回行うことができた。その点で、私は、ドイツ新政府と独首相個人の役割を指摘したい。重要なのは、私とショルツ氏が和平アプローチの見方につき一致していることだ。私たちは、近々、次期協議を行い、ノルマンディ4国首脳会合について合意できることを期待している」と発言した。
ゼレンシキー氏は、15日にショルツ独首相がモスクワを訪れた際、ドイツの立場だけでなく、環大西洋コミュニティ全体の立場を提示するのだとし、その立場の優先課題はウクライナの独立、主権、領土一体性だと指摘した。また、同氏は、ショルツ首相がモスクワ訪問の前日にキーウを訪れたことを高く評価すると発言した。同氏は、「ウクライナの安全保障は、欧州の安全保障だ。共通の努力で、私たちの共通の家を守るための手段を見つけることができる」と強調した。
その他、ゼレンシキー氏は、ショルツ氏とロシアによるさらなる侵略が起きた場合の制裁発動についても協議したと伝えた。同氏は、「私たちは、あり得る侵略に対する包括的制裁パッケージの発動問題について協議した。私の立場は明確であり、既知のものであり、侵略抑止において最も効果的なアプローチは、予防的シグナルを行使すること、というものだ。ウクライナにとって、NATO保守整備補給機関のメカニズムを利用した兵器・軍事機材の購入は非常に重要だ。私は、その問題も提起した」と伝えた。
加えて同氏は、ショルツ氏と、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」問題についても協議したが、「見解相違」があると伝えた。同氏は、「ノルド・ストリーム2に関係する安全保障上のリスクについても詳細に協議した。私たちには、評価において、いくつかの見解相違がある。私は、私たちの立場は不変であり、私たちはノルド・ストリーム2は現在、私たちと地域にとってのエネルギー・安全保障脅威のプリズムでのみ見ていると強調した。私たちは、それが地政学的な武器だと明確に理解しており、正にそのためにウクライナはエネルギー安全保障を必要としているのだ」と発言した。
同氏は、エネルギー分野の具体的な戦略対話を開始し、そこでエネルギー分野におけるウクライナへのエネルギー保証と効果的なサポートを作り出すことを提案したと伝えた。また、同氏は、「ドイツがウクライナ領通過の天然ガス輸送継続の保証者となることが重要だ」と伝えた。
ショルツ独首相は、ウクライナに対して、1億5000万ユーロの融資を供与すると発表した。ショルツ氏は、「私たちは、あなた方をサポートを継続することを明言する」とし、1億5000万ユーロの緊急融資の拠出を発表した上で、これはEUからのサポートとは別のものだと説明した。
ショルツ氏は、ドイツはウクライナとともにあり、ウクライナの欧州の道を支持しており、ドイツはウクライナの経済を強靭にし、外国の影響からより独立させたと発言した。
ドイツによるウクライナへの武器供与問題に関しては、ショルツ氏は、「あなた方は、ドイツの武器輸出の姿勢をご存知だろう。(中略)その問題は、私たちは、何度も何度も調べており、新たな結果が出たら、私たちは報告する」と発言した。またショルツ氏は、ドイツは多くの支援をウクライナに与えてきたのであり、ウクライナにとっての財政上の最大のドナーだと指摘した。
なお、ショルツ独首相は、15日にはモスクワを訪問し、プーチン露大統領と会談する予定。