岸田日本首相、露宇戦争1年で記念演説 日本国民の連帯の姿勢に感謝
首相官邸公式ウェブサイトに演説全文が掲載された。
岸田首相は、「1年前の今日、ロシアによるウクライナ侵略が起こった。現代を生きる我々にとって、この2月24日という日は忘れられない、いえ、忘れてはならない日となった。ロシアの戦車やミサイルが、市民が住む住宅や橋や発電所を無慈悲に襲い、無辜の市民が殺害される暴挙に世界中が愕然とした」と発言した。
そして、岸田氏は、「あれから1年、正義を取り戻す戦いは予断を許さない状況が続いている」としつつ、日本国民がウクライナ国民と連帯を示してきたこと、国民が様々な支援を実施してきたことを喚起し、「日本国民の連帯の姿勢は、ウクライナ国民に必ず伝わっていると思う」とした上で、国民に謝意を伝えた。
また同氏は、力による一方的な現状変更の試みを断じて許すことがないよう、ウクライナ支援と対露制裁を実施し、法の支配に基づく世界の平和秩序を回復しなければならないと強調した。同氏はその際、重要となるのがG7であるとし、日本が今年のG7議長国であることから、5月の広島サミットはじめ、1年を通じてウクライナ問題に対する結束を主導していくと伝えた他、日本は国連安保理非常任理事国でもあり、安保理での活動もしっかり行うと発言した。
加えて同氏は、日本が世界唯一の戦争被爆国であることを喚起した上で、「過去77年間の核兵器不使用の歴史が、ロシアによる核兵器使用の威嚇によって汚されることはあってはならない」と強調し、プーチン大統領が新戦略兵器削減条約の履行停止を述べたことに強い懸念を表明した。
同氏は、ウクライナがロシアの侵略と戦う上で、最も必要としているのが、ロシアと戦う装備品であるとの認識を示しつつ、日本は「防衛装備移転三原則に従い、防弾チョッキやヘルメット、ドローン等をウクライナに供与してきたが、殺傷性のある装備品は提供することには制約がある」と説明した。同時に、代わりに日本は、「日本の強みをいかし、ウクライナの人たちに寄り添った支援をきめ細かく実施」してきたとし、先般、追加表明した約55億ドルの財政支援を含めて、計71億ドルのウクライナ関連支援を表明してきたことを指摘し、エネルギー支援、カンボジアと協力した地雷除去支援、ウクライナの食料供給能力回復支援、ウクライナ周辺国支援を行っていくと伝えた。
また同氏は、「今日のウクライナは、明日の東アジアかもしれない」と指摘し、「侵略を受けているウクライナを支えることは、ウクライナへの支援であると同時に、力による一方的な現状変更を認めず、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くとの我々の決意を行動で示していく」と強調した。また、現在は「世界が歴史的転換点にある」との認識を示し、「有志国と連携して、次の平和秩序づくりに貢献をしていく」「国際社会の平和と安定を取り戻すべく、このアジアから、世界に信頼される日本の外交力を大いに発揮するよう、最大限努力する」との意気込みを表明した。
なお、2月24日、ロシアによる対ウクライナ全面侵略戦争が開始から1年が経過した。同日、G7首脳ビデオ会議が開催され、ゼレンシキー宇大統領も出席した。
ゼレンシキー大統領はまた、同日の大型記者会見の際に、日本の岸田首相を何度もウクライナに招待しているとし、彼は待たれている賓客であり、日本は待たれている国であると発言した。