ウクライナ国会議長、政権高官資産公開制度の再開を呼びかけ
ステファンチューク議長がフェイスブック・アカウントに書き込んだ。
ステファンチューク氏は、「電子資産申告について。私の立場は明確ではっきりしている。電子資産申告は、できるだけ早く再開せねばならない」と書き込んだ。
同氏はまた、電子資産申告・公開制度の再開は、全ての政権高官が行わねばならないとし、「幹部、裁判官、国会議員が対象だ」と指摘した。
同時に同氏は、自身は自発的に2021年と2022年の資産報告を提出したと伝えた。
加えて同氏は、「法案番号が重要ではないのだ。重要な原則は、民主的社会では申告は、単なる汚職防止手段というだけではなく、社会から役人に対する信頼の要素でもあるのだ」と伝えた。
同氏は、電子資産申告制度再開法案の採択に向けて、一時的被占領地にある資産の申告や、兵役についている者の資産提出手続きといった、個別の内容について議論はあり得るとしつつ、他方で、資産申告再開自体の必要性については議論の対象にはならないと強調した。
その上で同氏は、最高会議の各会派、議員グループ、無所属議員に対して、直近の会議の際に電子資産申告制度再開法案を支持するよう要請した。
同氏は、「透明性、公開性、信頼に関することである。それは私たちを欧州連合(EU)加盟を近付けるものである。それは、正義への要請であり、ウクライナ社会が渇望するものである」と書き込んだ。
なお、電子資産申告制度とは、ウクライナの汚職対策政策の一環として、2014年10月に法律が採択され、2016年8月に始まったもの。大統領、閣僚、議員、裁判官、検察官、地方自治体幹部、警察官などの政権高官が毎年資産を申告し、統一申告データベースに登録され、その一部がオンライン上で公開される。汚職犯罪の防止を目的にしたものであり、担当国家機関である国家汚職防止庁(NAPC)が資産の不申告や不自然な資産の増減をモニターしている。
2022年2月24日にロシアによる全面侵略戦争が始まると、最高会議は、政権幹部の資産申告の義務プロセスを停止し、資産情報の提出を戒厳令解除後に行えば良いことを定めた。同時に、NAPCには自発的に資産を申告した場合の受理を可能にしている。
6月29日、国際通貨基金(IMF)は、現在の拡大信用供与(EFF)の下でのウクライナへの次の融資のために、ウクライナ政権が合意された期間内に、グッドガバナンスと汚職対策の関連法案を採択することへの期待を表明した。その際、IMFはウクライナの公務員による電子資産申告の義務手続きの再開を待っていると伝えている。
現在、最高会議には、電子資産申告制度再開を定めた法案第8071が登録されている。