イェルマーク・ウクライナ大統領府長官、ジッダでの和平協議にコメント 「和平案の作業を行う準備のある国が増えている」
イェルマーク長官がテレビ番組「統一ニュース」出演時に発言した。大統領府広報室が伝えた。
イェルマーク氏は、「前に進む毎に、ウクライナの独立、領土一体性、主権を尊重し、平和の公式の一部あるいは、全部の実現の作業を行う準備のある国の数が増えてきている。そして、ロシアの孤立が大きくなっている。ヴォロディーミル・ゼレンシキーの平和の公式の実現は、ウクライナの勝利戦略の一部である。よって、ジッダの会合は歴史に残るだろう」と発言した。
同氏はまた、同会合は「平和の公式」の実現を近づけたとし、圧倒的多数の国がロシア軍のウクライナ領からの撤退が必要であること、そして、戦争の凍結は、ロシアに新たな攻撃の準備の時間を与えるだけであり、いかなる形であれ不可能であることを強調したと伝えた。
そして同氏は、今回の会合は、6月のコペンハーゲン会合の際の3倍となる40か国以上の国の代表者が出席したと喚起した。
同氏は、中国代表者が同協議に出席したことが重要だと述べ、それはウクライナとサウジアラビアの作業の結果、可能となったものだと指摘した。その際同氏は、「中国代表者は、やりとりに積極的に参加し、自らの意見を表明した。大切なことは、中国代表者から、中国が同フォーマットに今後も参加する準備があるとの言葉を聞いたことだ」と述べた。
また同氏は、協議参加者たちが同フォーマットでの作業継続に合意したと伝えた。同氏は、「私たちは、『グローバル平和サミット』の準備開催のための作業を今後も続けていく。同サミットの後に、10項目の内の1つ1つの実現の作業が始まっていく。言うまでもなく、この戦争の終結を法的に固める項目を含めてだ」と発言した。
その他、イェルマーク氏は、7日夜のキーウ市内での記者会見において、今後の同フォーマットでの活動についてコメントした。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
イェルマーク氏は、ジッダ協議の結果、参加国は、今後、大使級、首脳補佐官級、首脳級の3つのレベルで作業を行っていくことで合意したと伝えた。そして同氏は、数日後には大使級会合が行われ、そこには60か国以上が参加する可能性があると指摘した。同氏は、さらに1か月強の間に首脳補佐官級会合が行われる可能性があり、その後、第1回首脳会議が開催され、ウクライナ和平計画が暫定採択され、第2回首脳会議にて、戦争の終結を確認する、すなわち、「ウクライナの平和の公式の10項目が履行される」国際文書が採択されることになると発言した。
そして同氏は、ジッダの協議に42か国が参加したと述べ、それは「過去に例のないレベル」であり、同協議の成功こそが計画の現実性を物語っていると述べた。また同氏は、同協議では、「ウクライナの和平イニシアティブ以外のものは検討されなかった」と伝えた。その際同氏は、「戦争はウクライナ領で起こっているのであり」ウクライナ案(「平和の公式」)のみが唯一可能なものだと思うと指摘した。
同氏は、「平和の公式の10項目はいずれも国際法と国連憲章に適っている。また、全ての国がウクライナの領土一体性への支持と尊重について話し、皆が目的達成のための共通の計画の必要性を理解している。よって、領土一体性と主権の譲歩はいかなるものもあり得ない、というのが全ての国の共通の立場だ」と強調した。同氏はまた、今回のジッダ協議は、「野蛮な侵略に居場所のない、平和のリハーサルだ」とコメントした。
これに先立ち、5、6日、サウジアラビアのジッダにて、ウクライナのための平和原則について協議する約40か国が参加した国家安全保障補佐官・外務省政治局長会合が開催されていた。
協議後、ジョウクヴァ宇大統領府副長官は、同協議にて、あたかもウクライナ側が、自らの提案する「平和の公式」の1項目であり、和平の必要条件であるロシア軍のウクライナ領からの撤退につき、譲歩したかのように伝える報道を否定した。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、同会合後、最も困難な問題は、戦争の終結のためにロシアがウクライナ領を去らねばならない、ということを全ての国が理解しているわけではないことだと発言していた。
なお、「平和の公式」とは、ロシア・ウクライナ戦争の平和を確保するために実現が必要な、(1)核の安全、(2)食糧安全保障、(3)エネルギー安全保障、(4)全ての被拘束者と追放された人の解放、(5)国連憲章の履行とウクライナの領土一体性と世界の秩序の回復、(6)ロシア軍の撤退と戦闘の停止、(7)正義の回復、(8)環境破壊行為対策、(9)エスカレーションの防止、(10)戦争終結の確認、の10項目からなるウクライナが提案している和平案のこと。同案は、ゼレンシキー宇大統領が、2022年11月15日、G20首脳へ向けたビデオ演説を行った際に提案したもの。
写真:大統領府