ウクライナとハンガリーの外相会談 少数民族問題解決のための特別委員会設置を決定
クレーバ外相がシーヤールトー外相との会談後の共同記者会見の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
クレーバ氏は、「私たちは、非常に率直な会話を行った。最初は、少人数会合で非常に長く話をし、その後拡大会合を行った。私は、その会話の主要な正確について強調したい。それは率直で、誠実で、しかも建設性があった」と発言した。
そして同氏は、重要議題の1つは、ウクライナの欧州連合(EU)加盟に関するものだったとし、昨年12月の欧州理事会の際にウクライナとの加盟交渉開始決定の採択の際のハンガリーによる譲歩の決定を指摘した。
同氏は、「今後その他の重要な決定が下されていくのであり、私たちはそれらにつき話し合った。EU加盟国ウクライナというのは、戦略的にハンガリーの国益に最も適う」と発言した。
さらに同氏は、双方はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟と分野別協力についても話し合ったと伝えた。
その他同氏は、今回の会談では、少数民族の権利問題に多くの時間が割かれたと述べ、「私たちは、この話を最初から振り返った上で、ハンガリー側もウクライナ側も双方の善意でこの問題を解決したい、という立場で一致した」と発言した。
そして同氏は、会談時にシーヤールトー外相がハンガリー側が、法律以外の文書で詳細な説明、追加的解決を要すると考える問題のリストを提示したと伝えた。
また同氏は、「私たちは1つのシンプルなことに合意した。私たちは、ハンガリー側に同国がマイノリティ代表者の権利保護問題に加える問題の完全なリストを提供するよう頼んでいたのだが、私たちはそのリストを受け取った。私たちは、外務省の傘下に特別委員会を招集することで合意した。その委員会には、非常にシンプルな課題がある。最終的に明確にするために、10日後に、同委員会がその受け取った問題リストから、何がどのような解決を要するのか、あるいはすでに解決済みなのかにつき、両国政府が審議できるように、具体的な解説を提示する、というものだ」と発言した。
その他同氏は、以前は少数民族問題についてはウクライナのEU加盟の文脈において決定採択の話が行われていたが、「全ての少数民族の利益に適う形ですでに原則的には解決しているその問題を最終的に解決するために」、「現在、私たちはその議論を二国間レベルで行いたがっている」と発言した。
なお、同日、ウクライナ西部ウジホロドで、クレーバ宇外相、イェルマーク宇大統領府長官、シーヤールトー・ハンガリー外相が会談を行った。ウクライナ外務省は、同会談は6時間10分続いたと伝えている。
また、会談に先立ち、3者は現地のウクライナ戦死者が葬られている墓地を訪れている。
なお、本件は、ウクライナ最高会議が2020年に採択した「教育法」を巡り、ハンガリー政府が同法第7条の教育言語に関する条項を問題視したことに端を発する。この法律の移行規定は、ウクライナ国内の教育機関にて、ウクライナ語で教育する科目の数を徐々に増やしていくことを定めているが、ハンガリー政府は、この規定にハンガリー系マイノリティーの権利侵害があるとして反発。ハンガリーは、同法改正などを求め、ウクライナとNATO加盟国の複数公式会合の開催を妨害するなどしていた。
2023年12月8日、ウクライナの最高会議は、教育分野をはじめとする、ウクライナの少数民族の権利を拡大する改正法を採択していた。