EU閣僚理事会、第15回対露制裁パッケージを採択
欧州理事会広報室が公表した。
発表にて、カラスEU外務・安全保障政策担当上級代表は、「ロシアはウクライナとウクライナの人々に対する残酷な攻撃を続けている。今回の制裁パッケージは、ロシアの戦争マシンと、中国企業を含む、この戦争を可能にしている者たちを弱体化させるための私たちの対応の一環である。これは、ウクライナを継続的に支援するというEU加盟国の結束を示すものである。私たちの喫緊の優先事項は、ウクライナを可能な限り強固な立場に置くことである」と強調した。
採択された第15制裁パッケージは、経済措置、対個人・団体措置を含む、ロシアの対ウクライナ継戦能力を弱体化することが目的となっているという。
また今回の制裁は、プーチンの「影の船団」やロシアの軍事産業複合体に対するものを含む、EUの制裁への迂回に対応したさらなる措置となっているという。個別制裁は、ウクライナの領土一体性、主権、独立を弱体化する、ないしは脅威をもたらす行動に責任のある54名の個人と30の団体が新たに対象リストに加えられたという。
個人制裁は、キーウの小児病院「オフマトディト」への攻撃を行なったロシア軍の部隊、エネルギー部門のロシアの主要企業の幹部、ウクライナ児童連れ去り、プロパガンダ、制裁迂回に関与している人物が対象となった。また、北朝鮮の高官2名も制裁リストに加えられている。
制裁対象企業リストには、ロシア当局に重要な収益をもたらす原油や精製品の海上輸送に携わるロシアの防衛企業や海運企業が含まれている。さらに、ロシアの化学工場や、ロシア軍に重要な物流サービスを提供しているロシアの民間航空会社も含まれた。
また今回初めて、渡航禁止、資産凍結、あらゆる経済資源の提供禁止を含む本格的な制裁が、ロシアの継戦のための、ロシアへの無人機の部品や超小型電子技術の供給に関与した様々な中国の産業主体に科されている。
今回の制裁リストには、EU制裁の回避に対抗するべく、欧州の港への入港や幅広い海上輸送関連サービスの提供を禁止する船舶が追加されている。これらの措置は、欧州企業に属さず、プーチンの「影の船団」の一部となり、ロシア産原油の制裁「価格上限」を回避するため、あるいはロシアのエネルギー部門を支援するために使用されているタンカーを対象としている。
欧州の制裁は、ロシアへの軍事装備の輸送や、ロシアによって盗まれたウクライナの穀物の輸送に関与している船舶にも科される。今回の制裁リストには、第三国の船舶52隻が含まれており、「制裁対象」船舶はこれで合計79隻となった。
貿易分野では、EUは、ロシアの軍産複合体への支援やウクライナへの侵略に直接関与している企業32社に制裁を拡大した。これらの企業は、デュアルユース商品や技術、ロシアの安全保障・防衛部門の技術強化に貢献する可能性のある商品や技術の輸出について、より厳しい制限を受けることになる。これらの企業の中には、中国、インド、イラン、セルビア、アラブ首長国連邦などの第三国に拠点を置き、制裁回避に関与したり、無人機やミサイルなどの生産といった、ロシアの軍事行動で使用される機微な製品の発注に関与したりしているという。
なお、本日、ブリュッセルでは、EU閣僚理事会会合が開催され、ウクライナ支援の継続やロシアへの追加制裁発動についての協議が行われている。