メルツ独最大野党党首、ドイツによる停戦後のウクライナへの平和維持部隊派遣可能性にコメント
メルツCDU党首がドイツ通信社(dpa)に対して発言したものを、tオンラインが伝えた。
メルツ氏は、「もし和平合意が生じ、ウクライナに合意を保障するための保証が必要となれば、私たちは、国際法に従った理想的な委任がある場合にそれを議論することができる。現時点で、私はそれを目にしていない」と発言した。
また同氏は、「そのような委任は、紛争中ではなく、ロシアとの同意の下で存在することが望ましい」とも指摘した。
さらに同氏は、ウクライナのための安全の保証については多くを語らず、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟についてのみ、「今日その方向で何かが生じることは想像できない」とし、なぜなら双方が停戦からまだ程遠いからだと指摘した。
その際同氏は、「それは全て、今後数週間、もしかしたら数か月の間に明らかにせねばならない問題だ」とも発言した。
加えて同氏は、ウクライナにおける平和をできるだけ早く回復させるという共通の願望はあるとの見方を示した。
同時に同氏は、「しかしながら、それは指示される平和であってはならない。それは、ウクライナと共にある平和でなければならず、ウクライナに反する平和であってはいけない。そして、何より、それは私たちにも関係する平和でなければならない」と発言した。
選挙戦においてショルツ現首相から激しい批判の対象となっている長射程ミサイル「タウルス」の供与に関しては、メルツ氏は、以前はウクライナへの供与を積極的に要求していたが、今回はかなり慎重に言及した。メルツ氏は、そのミサイルは「ウクライナにおける平和回復のレンガ」となるべきだと述べ、少なくとも米国、フランス、英国の3国が類似の兵器をウクライナにすでに供与しながら、それによって戦争参加国とはなっていないと喚起した。同時に同氏は、ショルツ氏同様に、ドイツが戦争当事者になることは看過できないとの見方を示した。
その他同氏は、1月20日の就任後、トランプ米次期大統領が米国政権のウクライナ政策を大きく変えるだろうとの指摘し、それはウクライナへの支援の停止になるかもしれないし、あるいは「ロシア人が戦争を断念するように」ウクライナを大幅に武装する決定を下すかもしれないと発言した。
そして同氏は、1月20日以降の1月20日以降に生じ得る米国のシナリオにどう対処するかについて、ドイツは、NATOの重要パートナーである英国と共に、EU内で戦略を立てるべきだと発言した。
選挙に勝利した場合、ウクライナへの支援と防衛力強化のための新たな特別基金を予算内で設けることを支持するかと問われると、メルツ氏は否定し、その費用は「現在の予算で賄う」べきだと考えている。追加債務で賄うことはできない」と答えた。
メルツ氏はまた、ロシアが欧州に対してもハイブリッド戦争を仕掛けていることを思い起こさせながら、自国の防衛力を強化する必要性を強調した。その際同氏は、それはドイツのインフラに対する大規模な攻撃や、ソーシャルメディアを通じた世論への影響力行使などによって証明されているとし、ロシアのこのハイブリッド戦争も止められなければならない、と強調した。
なお、ドイツ議会選挙の投票日は、2025年2月23日に実施される。現時点では、保守系のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が約30%と最も支持が高い。この保守同盟が選挙で勝利した場合でも、連立与党を形成することが必要となる可能性が大きく、その場合、最も可能性が大きい連立相手と見られているのは、現在与党の社会民主党である。