ロシアとの「トルコ交渉」など一切ない=ゼレンシキー宇大統領
ダボス訪問中のゼレンシキー大統領が世界経済フォーラムの国際メディア会議の代表者との会合時に、ロシア首脳陣が主張するいわゆる「イスタンブル合意」なるものに関する質問に答える形で発言した。
ゼレンシキー氏は、「トルコ交渉など一切ない。なぜなら、私が大統領で、私が交渉者だからだ。ロシアではプーチンが交渉者だ。そして、米国ではトランプ氏で、その前はバイデン氏だった。私は、トルコでプーチンとは一度も会っていない」と発言した。
また同氏は、トルコでは確かに3回の会談があったが(編集注:2022年春のウクライナ・ロシア間の交渉のこと)、しかしその際、ロシア側は降伏的な要求を含む独裁者プーチンの最後通牒を突きつけてきただけだったと喚起した。
同氏は詳細に、当時のロシアの1つ目の要求はゼレンシキー氏自身を大統領職から降ろし、代わりに親露の人物ヴィクトル・メドヴェチューク氏を大統領にすることだったと述べた。
また同氏は、「2つ目は、ドンバス地方全てがロシア領であると私たちが認めることだ。それから、私たちはロシア語を認めねばならず、また中立地位を定めるために、私たちの憲法を変えねばならない、というものだった。さらに、私たちの軍を5万人に縮小するというものもあった。現在私たちの軍は85万人である。また、20キロ以上の射程を持つ全ての火砲を明け渡す、ないし、破壊するというものもあった。だから、交渉は一切なかったのだ。あったのは、プーチンという名の殺人者からの最後通牒だ」と強調した。
さらに同氏は、「私たちは、何らかの交渉があったとは言うことができない。なぜなら、その時ずっと、3回とも、それはプーチンからの最後通牒だったからだ」と繰り返した。
なお、ゼレンシキー大統領は以前にも、いわゆる「イスタンブル合意」というのは実際には2022年に突きつけられた、ウクライナの降伏と独立の明け渡しに関するロシアの最後通牒であり、現実に存在するものでなく、プーチンのファンタジーであると発言していた。
写真:大統領府