
トランプ米大統領、「どの領土が維持され、どの領土が失われるか」につきウクライナと話し合ったと発言 ウクライナは否定
トランプ大統領がホワイトハウスでのルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長との会談の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
トランプ氏は、「私たちはウクライナとの間で、維持される領土と失われる領土について協議した。また、最終的合意の他の全ての要素についてもだ」と発言した。
同氏はまた、「誰のところに発電所が行くか」についても話したと述べた。同氏はその際、具体的に何を指すのかは明言しなかったが、ロシアが占拠を続けるウクライナ南部のザポリッジャ原子力発電所のことを念頭に言及していた可能性がある。
そして同氏は、「知っているか、これは難しいプロセスだ。しかし、第一局面は、停戦だ」と発言した。
さらに同氏は、ウクライナ側とは、北大西洋条約機構(NATO)加盟に関するものも含め、多くの問題について協議をしたと指摘した。その際、NATO加盟については、同氏はそれは「皆が答えを知っている」問題だとし、ウクライナはNATOに加盟できないという自身のこれまでの発言を暗に示した。
その上で同氏は、「よって、最終合意の多くの詳細が実質的に話し合われた。今後私たちは、ロシアがそこにいるかどうかを目にするし、もしいないのであれば、それは世界にとって非常に大きな落胆の瞬間となる」と発言した。
これに対して、ウクライナのベウズ大統領府長官顧問は、ラジオ・スヴォボーダにて、サウジアラビア・ジッダでのウクライナと米国の協議の際に、両国代表団はロシアに占領されているウクライナ領についての譲歩や承認の話は協議されなかったと発言した。
ベウズ氏は、「サウジアラビアでの協議の際、両国代表団は、ロシアにより占領されている領土の譲歩や承認の問題は協議されなかった。なお、ウクライナ領の地位は、2014年から始まる出来事の文脈で話し合われてきた」と発言した。
その際同氏は、両国代表団の協議の目的は領土面の譲歩に関するものではなかったとし、「私たちは、2014年3月のロシア連邦の侵略から始まる領土の問題がどのように変わってきたかについて協議した。ところで、非常に重要なことは、米国側には、その時に侵略が始まったことにつき疑いがないことだ。私は、ウクライナ人にとってはそれは明白なことなのは理解しているが、しかし、信じて欲しいが、現実を正しく受け止めるためには、そこまで戻さなければならないのだ」と指摘した。
そして同氏は、「私たちは、実質的にその時から生じてきた領土の地位におけるあらゆる変更を検討した。クリミア、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域、それから全面侵攻後に生じた変化。そして、私は、領土に関する対話の目的は、誰かが何かを犠牲にするという話では全くなかったと思っている。私は、社会に一定の疑念があるのは理解しているが、しかし、『それはこれと入れ替えて、ほらここは明け渡して、これは認めて』という問題の設定は、なかった」と発言した。
同氏はさらに、ウクライナは米国の代表者に対して、被占領地をロシア領と認めることは決してないと伝え、他国や何かしらの機関がそのように承認することは「危険な先例となる」ことも伝えたと述べた。
また同氏は、「ウクライナがどこかで何かをロシアのものとして受け入れないといけない、それを認めないといけないという類のことは何も協議されなかった。そして、そのやりとりは、ウクライナは占領を決して認めない(編集注:占領地をロシア領として認めない)と改めて強調することから始まった。2014年以降ロシアにより占領されたウクライナ領の一片たりと、ウクライナはロシア連邦のの一部と認めることはない」と説明した。
その他同氏は、ウクライナ代表団は協議でウクライナにとっての「レッドライン」を明確に示したとし、ウクライナはあり得る一時的停戦を最終的な和平への最初の一歩とみなしていると指摘した。その際同氏は、「私は、ウクライナはジッダにて、受け入れられないことのラインを明確に示したと思う。そして、停戦の時も、最終的和平の実現に際しても、そのラインは侵害されてはならない」と発言した。
これに先立ち、ウクライナのゼレンシキー大統領は12日、ウクライナがロシアに現在占領されている領土をロシア領と認めることは決してないと発言していた。
また、シビハ宇外相は同日、「私は『領土面譲歩』という言葉を受け入れない」「ウクライナの領土一体性と安全保障を代償とする譲歩は一切生じない」と発言していた。
写真:ウクライナ大統領府