
ゼレンシキー宇大統領、トランプ氏周辺人物へのロシアの偽情報の影響を懸念=タイム
ゼレンシキー大統領が米タイムへのインタビューの際に発言した。
トランプ氏とプーチン氏の電話会談の際に、プーチン氏がクルスク州で数千人のウクライナ軍人がロシア軍に包囲されていると伝えたことにつき、ゼレンシキー氏は「あれは嘘だった」と指摘した。タイムの記者は、しかし、トランプ氏はその後もそれを広め続けていると伝えている。
またゼレンシキー氏は、米国政権高官が、自国のインテリジェンス機関の情報が否定している場合ですら、プーチン氏の言葉を信じ始めていると指摘した。
同氏は、「私は、ロシアが情報を通じてホワイトハウスのチームの何人かに影響力を行使できたと思っている。彼らの米国民へのシグナルは『ウクライナ人は戦争を終わらせたがっていない』とか『彼らを強制すべく、何かをすべきだ』である」と伝えた。
加えてゼレンシキー氏は、ウクライナ人は米国を同盟国だと思っているが、「しかし、その時(編集注:ホワイトハウスでの口論時)、私たちは同盟者ではない、あるいは、同盟者の立場をとっていないという感覚が生じたのだ」とし、「その会話で、私はウクライナの尊厳を守っていたのだ」とも発言した。
その他同氏は、トランプ氏は、ロシアへといくつかの点で譲歩することに同意したが、その代わりに何も得なかったとの見方を示した。その際ゼレンシキー氏は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を見送り、さらには、ロシアのG7への回帰の可能性すらにも言及したことを指摘した。
その際同氏は、そのようなアプローチはプーチンの孤立を取り除くものだとし、「それは大きな譲歩だ。ヒトラーが政治的孤立から解放されるのを想像してみて欲しい」と発言した。
同時に同氏は、プーチンが思っていたより弱いこと、プーチンを信用できないことをトランプ氏が認識することを期待していると述べた。またゼレンシキー氏は、トランプ氏と米政権チームがウクライナの敗北を受け入れないだろうとも発言した。
その際同氏は、「彼らには彼らの野心がある。彼らは歴史の中に自分たちの役割を見ている。」とし、それは単に強いリーダーとしてではなく、戦争の尊厳ある集結を達成できる者としてだと指摘した。その上で同氏は、「だからこそ、私は、それらの終末論的なシナリオは信じていないのだ。正直に、信じていない」と強調した。
これに先立ち、米国のウィトコフ中東担当特使は21日、ロシアの対ウクライナ戦争の解決における鍵となる問題は、占領地問題だと発言していた。その際同氏は、それはクリミアや「いわゆる4つの地域、ドンバスと…、ルハンシクとあと2つ」のことだと述べ、さらに「ロシア語話者地域」で「住民投票が行われて」「多数がロシア政権下に入ることを望んでいることを示した」とロシア発の占領を正当化するナラティブを繰り返していた。
同発言につき、米戦争研究所(ISW)は、ウィトコフ氏の発言を分析した上で、侵略国が占領したこれらの領土をロシアが「取り戻した」とする同氏の発言は、拡張主義的な領土要求とウクライナへの数々の侵略を正当性するものだと報告している。
写真:ホワイトハウス